2023 Fiscal Year Research-status Report
BET タンパク質機能阻害による皮膚免疫活性化への影響の解明
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23K14442
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
瀬川 良佑 東北大学, 薬学研究科, 助教 (20725296)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | BET タンパク質 / アトピー性皮膚炎 / TSLP / PAR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚の表皮細胞から産生される Thymic stromal lymphopoietin (TSLP) はアトピー性皮膚炎の治療および予防の標的とされている。本研究ではエピジェネティックな転写制御を調節する BET タンパク質の機能阻害作用を持つ BET 阻害剤によって皮膚における免疫活性化機構にどのような影響が生じるかを明らかとする。これは新しいアトピー性皮膚炎の治療や予防法の開発につながる。 BET阻害剤によりヒト表皮細胞株における PAR2 刺激を介した TSLP 発現誘導や、マウス皮膚培養系における TSLP 産生を抑制した。PAR2 刺激は皮膚において乾燥肌や手荒れ等の皮膚バリア機能障害によって生じる。このことから、アトピー性皮膚炎の契機ともなり得る皮膚バリア機能障害を介した TSLP 産生に対して BET 阻害剤が有効であることが示唆される。さらに、BET 阻害剤はマウス皮膚培養系におけるランゲルハンス細胞の活性化、特に共刺激因子である CD80、CD86、PD-L1 の発現誘導を抑制した。このことは BET 阻害剤が表皮内での免疫応答の活性化を抑制することを示唆する。さらにマウス個体レベルで BET 阻害剤の効果を評価するため、テープストリッピング法を用いたマウス表皮障害モデルを構築した。本モデルにおいて BET 阻害剤の塗布により TSLP 発現が抑制されることを確認した。 以上より、BET 阻害剤は表皮障害に類似した刺激による TSLP 産生およびランゲルハンス細胞の活性化を抑制できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であったランゲルハンス細胞の活性化に対する BET 阻害剤の薬効評価およびマウス個体レベルでのBET 阻害剤の TSLP 産生抑制作用評価を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は PAR2 下流で BET 阻害剤の影響を受ける因子の網羅的探索と TSLP 発現に寄与する BET タンパク質アイソフォームの同定を行う。さらにマウス表皮障害モデルを用い、マウス個体レベルで BET 阻害剤の皮膚を介した免疫活性化への影響を評価する。
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