2023 Fiscal Year Research-status Report
膠芽腫におけるp300-ヒストンアセチル化酵素活性による細胞増殖制御機構の解明
Project/Area Number |
23K14445
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
浜辺 俊秀 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90963314)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / ヒストン修飾 / p300 |
Outline of Annual Research Achievements |
膠芽腫は悪性脳腫瘍の中で最も頻度が高く、5年生存率は10%程度と予後が極めて悪い。膠芽腫の治療では、外科的な手術のみで腫瘍を完全に摘出することは困難であるため、術後に残存した腫瘍に対して薬物療法が広く用いられる。残存した腫瘍は異なる遺伝子変異を持つ細胞集団であるため、特定の薬剤に対して耐性となる遺伝子変異を持つ細胞は再発の原因となる。そのため、複数の治療薬を併用することが治療法として有効となるが、膠芽腫に対して生命予後の延長効果が示された治療薬はテモゾロミドのみであることから、新規治療薬の開発が急務となっている。 近年、ヒストンアセチル化酵素活性(HAT活性)が膠芽腫細胞の生存に重要である可能性が見出されている。しかし、膠芽種の増殖に重要なHAT活性を持つタンパク質は報告が多くない。 本研究では、HAT活性をもつタンパク質の1種であるp300が膠芽腫の増殖に重要であるかを検討することを目的としている。これまでに、siRNAによりp300の発現量が減少した条件下において、膠芽腫細胞株の増殖が抑制されることを見出した。この結果から、p300が膠芽腫細胞の増殖に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。今後はp300のHAT活性によって転写制御を受ける細胞増殖に関連する遺伝子の同定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
p300ノックアウト細胞株の樹立が予定通りに進行せず、siRNAを用いてp300の発現量を減少させる手法に切り替えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
p300の発現量を減少させることにより、細胞周期停止が誘導されるのかを検討する。細胞周期停止が誘導されている場合、細胞周期関連因子(CDK-Cyclin)の遺伝子発現を解析する。細胞周期停止が誘導されていない場合、増殖に不可欠な成長因子の遺伝子発現が抑制されるのかを検討する。
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