2023 Fiscal Year Research-status Report
網羅的定量解析による性差を切り口とした敗血症重症化機構の解明
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23K14446
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
清水 聡史 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90969437)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 敗血症 / 性差 / 敗血症性多臓器不全 / オミクス解析 / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は敗血症モデルマウスの作成・サンプルの作成を中心に進めた。 腸内細菌叢には性差があることが知られており、その違いが重症度の性差につながる可能性があるため、条件を統一するために糞便懸濁液腹腔内投与法を試すこととした。同一ロットの懸濁液を使うことで安定した重症度を示す敗血症モデルマウスを作成する条件を決定した。 次に糞便懸濁液腹腔内投与法にてFCGマウスを敗血症を惹起させ、心臓・腎臓の採取を行なった。現在のところ、腎臓のサンプルは全て採取完了し、心臓を現在進めている。 採取した腎臓サンプルからRNAの抽出・精製を行い、マイクロアレイ測定を行なった。Transcriptome Analysis Consoleを用い解析を行い、RNA転写量の定量化を行なった。このデータを用い、主成分解析を行なったところ、性染色体・性腺の違いにより群分けされていた。また、正常な腎臓のマイクロアレイ解析と比較したところ、敗血症群・正常群で2群に別れていることも明らかになった。その後、バイオインフォマティクス解析を行ったところ、性差遺伝子・性差のあるパスウェイを明らかとなった。この中には敗血症の重症化に関与が知られている分子群も含まれていた。 腎臓のプロテオミクス解析に向け、腎臓近位尿細管刷子縁膜小胞の精製方法について検討を行った。凍結した腎臓をホモジナイズした後、遠心法にて膜タンパク質画分を取得し、カルシウムイオンを用いて腎臓近位尿細管刷子縁膜を小胞として沈殿させることにより、サンプル精製を行うことができ、プロテオミクスを行う準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は敗血症モデルマウスの条件を決定し、安定して作成することができた。また、今後の実験を考慮して一度に多くの糞便懸濁液を作ることができたため、同じ条件で今後も敗血症を惹起することが可能になった。FCGマウスの心臓・腎臓サンプルの収集も順調に進んでおり、腎臓は予定サンプル数、心臓はサンプルを採取するための交配も順調に進んでおり、すぐにサンプルの回収が完了すると考えられる。さらに、腎臓ではマイクロアレイ解析が完了し、プロテオミクス解析のための実験手法の確立も完了したため、現在ボトルネックとなるような問題は発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は心臓サンプルの採取を継続するとともに、腎臓のプロテオミクス・心臓のマイクロアレイ・プロテオミクスを進めていき、データが揃うごとにバイオインフォマティクス解析を進めていき、敗血症重症化に係わる重要な経路を明らかにする。また、昨年度予算が余ったことや、RNA-seq解析を外注せずに自身で行えるようになったことから、心臓のマイクロアレイ解析をRNA-seqに変更し、より多くのデータを取得することも考慮に入れる。
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Causes of Carryover |
本年度に行った、敗血症モデルマウスの作成が予想以上に少ない回数で条件が決まったことによる、マウスにかかる諸経費が減額した。さらに、キャンペーンのタイミングで物品等が購入することができたため当初計画より差額が生じた。 この減額分により、来年度行う予定の心臓のマイクロアレイ解析をより、多くの結果を得ることのできるRNA-seqにすることを検討する。当初RNA-seqは予算の都合上行えないと判断し、安価なマイクロアレイ解析を選択していた。(研究計画に記載あり)
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