2023 Fiscal Year Research-status Report
KRAS codon61 変異に着目した膵癌の臨床病理学的・分子生物学的解析
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23K14471
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高木 康司 富山大学, 学術研究部医学系, 病院助教 (20972491)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膵癌 / KRAS |
Outline of Annual Research Achievements |
①当院にて施行された膵臓切除症例(過去10年分程度)について検索し、その中で浸潤性膵管癌である症例を抽出した。これらについて、手術標本の病理所見や切り出し図を確認し、腫瘍が十分含まれている検体であるか検討した。術前治療によって完全~或いはほぼ消失した症例については除外した。現在の所、100症例以上は検索可能と考えている。 ②①にて抽出した症例について手術標本を確認し、診断に相違ないか検討した。その中で、問題のない症例について、最も腫瘍含有量の高いスライドを選択し、そのパラフィン包埋ブロックから未染標本を作製し、抽出キットを用いて腫瘍部の組織を選択的に抽出した。変異の検出については、過去文献等も参考に、対象となるKRASのcodon12、codon13、およびcodon61を評価可能なprimerを作製し、これらを用いて変異の有無を検討した。 ③現在までに20数例を解析した結果、codon12変異15例(G12Vが9例、G12Dが4例、G12Rが2例)、codon61変異が2例(Q61Hが2例)、codon12、codon13、codon61いずれの変異も認められないものが4例であった。これらは概ね既報告と同程度の頻度であるが、対象数はまだ少なく、解析数を増やして更に検討する予定である。 ④抽出と併せ、その病理組織化学的特徴(腫瘍径、深達度、周囲組織への進展具合、脈管侵襲、リンパ節転移の程度等)を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
変異確認の手法の確立が遅れたためである。具体的には、当初は特定のcodon変異を検知するキットを用いて行おうと複数のキットについて検討したが、費用や応用性等の問題から断念した。続いて、Sanger法を用いて変異を検索することとし、まず未染標本全体から遺伝子を抽出して実験を行ったが、検出出来なかった。原因として腫瘍含有量が少ないことが考えられたため、選択した領域から抽出出来るキットを検討し、これに変更して実験を行った所、ようやく遺伝子変異が確認出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
①上記のような経緯で遅れてしまったが、変異検出のプロセスは概ね確立されたと考えられ、次年度以降解析を進める。 ②各codon変異症例について、その病理学的特徴についてまとめ、どのような傾向がみられるか検討する。 ③KRAS関連遺伝子の発現について、免疫組織化学的検討などを行う。
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Causes of Carryover |
今年度未施行分を使用する予定である。具体的には、ゲノムDNA抽出のためのキット(TaKaRa DEXPAT)購入費用に60000円、PCR試薬(Taq polyperase)購入費用に30000円、シーケンス解析費(ユーロフィンに委託)に120000円、KRAS関連免疫組織化学的検索のための抗体購入費用に250000円、程度使用見込みである。
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