2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K14496
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
鷲見 公太 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 病理診断科, 医長 (30716733)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 未分化肉腫 / 血行性転移 / RNAシークエンシング / 鎌状血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
未分化肉腫を主体とした高悪性度軟部肉腫症例の組織所見を再評価し、腫瘍内に増殖している血管形態を評価し、鎌状血管の目立つ症例の中で、鎌状血管増生が目立つパラフィン包埋ブロックを抽出した。また、鎌状血管増生が目立たない高悪性度軟部肉腫症例の中で、鎌状血管増生が目立たないパラフィン包埋ブロックも抽出した。それぞれの組織ブロックを用いて、RNAシークエンシングにより遺伝子発現解析を行なった。また、鎌状血管増生が目立つ代表切片、領域を厳選して空間的遺伝子解析を行なっている。 鎌状血管が増えているブロックと増えていないブロックで得られた遺伝子解析結果から、遺伝子発現を比較することで、高悪性度軟部肉腫内で鎌状血管形成に関わる遺伝子の同定を試みる。また、鎌状血管形成領域の空間的遺伝子解析を行うことで、血管近傍の腫瘍細胞と血管から離れた位置にある腫瘍細胞の遺伝子発現を比較することで鎌状血管形成の機序の解明を試みる。 現在、希少がんである悪性軟部肉腫は、化学療法の選択肢が他の癌種と比較して圧倒的に少なく、予後不良とされている。今までの研究から、血行性遠隔転移が肉腫症例の最も重要な予後不良因子の一つであることが分かっており、さらに鎌状血管増生が目立つ肉腫では血行性転移をする症例の割合が高い傾向が示されている。鎌状血管増生に関与する遺伝子変異を解析し、血管形成機序を解明することで、高悪性度軟部肉腫の血行性転移に関わる病態の一端を解明する手掛かりになる可能性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高悪性度軟部肉腫の組織標本を検索、再評価し、鎌状血管が目立つ高悪性度軟部肉腫症例と目立たない軟部肉腫症例の組織ブロックの抽出を行い、それぞれの組織ブロックを用いてRNAシークエンシング解析を行なった。また、鎌状血管増生が目立つ領域で、少ない症例数であるものの空間的な遺伝子解析を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に遺伝子解析された結果を、鎌状血管の目立つブロックと目立たないブロックで比較検討し、鎌状血管形成に関与している遺伝子変異を絞り込んでいく予定である。また、空間的遺伝子解析結果を用いて、組織ブロックで行なったRNAシークエンシングの遺伝子解析結果から、鎌状血管形成に関与している可能性が示唆された遺伝子変異が実際に鎌状血管周囲の細胞でみられるのかを立証する予定である。 上記解析により鎌状血管形成に関与している可能性がある遺伝子変異が絞れた際には、症例数を増やして解析を行い、鎌状血管形成機序の解明を試みる。
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Causes of Carryover |
空間的遺伝子解析の1症例あたりの単価が非常に高く、前年度分の予算で施行できる症例が限られていた。また、組織ブロックから免疫組織学的な蛋白発現の検討を予定していたが、遺伝子発現の解析途中であり、免疫染色抗体の購入をまだ行なっていないため。
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