2023 Fiscal Year Research-status Report
クルーズトリパノソーマ由来因子による宿主オートファジー回避機構の解明
Project/Area Number |
23K14509
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鬼塚 陽子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (30710058)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Trypanosoma cruzi / オートファジー / SNARE 複合体 / vacuolar protein sorting |
Outline of Annual Research Achievements |
Trypanosoma cruzi (T. cruzi) は中南米で流行するシャーガス病の原因寄生虫であり、宿主防御反応を回避することで生き延びているが、その回避機構の詳細は明らかにされていない。宿主病原体排除機構の一つ「オートファジー」に焦点をあて、これまでに原虫感染細胞において、宿主オートリソソーム形成が抑制されていることを明らかにし、報告した。その後、オートリソソーム形成に関わるSNARE 複合体との相互作用因子を探索した結果、いくつかの原虫側因子を同定した。本研究では、同定された因子の中でも液胞輸送に係るVPS (vacuolar protein sorting) タンパク質に着目し、研究を進めた。 今年度は原虫感染細胞内における、T. cruzi Vps16 (TcVps16) の局在を調べるために、外注で作製したTc Vps16 抗体を用いて免疫蛍光染色を行い、共焦点顕微鏡により観察を行った。その結果、感染9時間後の宿主細胞内に存在する無鞭毛期虫体(amastigote)の細胞質内において、Tc VPS16 は点状に偏りなく存在していることが明らかになった。また、同時に市販のhuman Vps16 (hVps16) 抗体を用いて、原虫との交差性の確認した結果、hVPS16抗体では原虫は染まらないことを確認した。一方、非感染細胞質内のhVPS16 は検出できなかった。さらに、ウエスタンブロット法を用いて、非感染HeLa 細胞ライセート中のhVPS16タンパク質発現量を調べたが、バンドは検出されなかった。これらの結果から、宿主細胞内のhVPS16 タンパク質発現量が低く、現状では宿主と原虫それぞれのVps16 の細胞内局在を同時に捉えることが困難であるため、hVps16抗体の再検討及び、tag付きhVps16 強制発現細胞の樹立が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の実験に時間を要し、当初の予定である、SNARE 複合体 とTcVPS16 の結合部位を調べるためのFRET の系の構築や、変異型TcVps16 リコンビナントタンパク質の作製ができず、両者の結合部位の解明まで至らなかったため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、SNARE 複合体とTcVps16 が感染細胞内で結合しているかどうか調べるため、TcVPS16 抗体と原虫感染細胞ライセートを用いた免疫沈降法を行い、ウエスタンブロット法で各SNARE 複合体のバンドが見られるか検証する。その後、宿主細胞内における結合の可視化を目指し、FRET あるいは近位依存性ビオチン化酵素(AirID)のシステムを構築する。また、蛍光抗体法で観察できなかったhVPS16 の強制発現細胞を作製する。それと同時に基礎的な情報を得るために、感染細胞におけるhVPS16 遺伝子発現量を経時的に追う予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会に参加できず、旅費の未使用額が生じた。5年度の未使用額は、遺伝子改変細胞作製用試薬などの購入やシークエンス解析などの外注費に充てる。6年度経費の主な用途は消耗品・試薬で、内訳として細胞培養に必要な培地、血清、ディスポーザブルピペット等のプラスチック製品、抗体、TcVps16ノックアウト原虫作製のための試薬があげられる。また、国内学会に参加し、研究成果を発表するための旅費も計上した。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Differential cardiomyocyte transcriptomic remodeling during in vitro Trypanosoma cruzi infection using laboratory strains provides implications on pathogenic host responses2023
Author(s)
Candray-Medina KS, Nakagama Y, Ito M, Nakagama S, Tshibangu-Kabamba E, Takeda N, Sugiura Y, Nitahara Y, Michimuko-Nagahara Y, Kaku N, Onizuka Y, Arias CE, Mejia M, Alas K, Pena S, Maejima Y, Komuro I, Nakajima-Shimada J, Kido Y.
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Journal Title
Tropical Medicine and Health
Volume: 51
Pages: 86
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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