2023 Fiscal Year Research-status Report
改良型HBVマウスモデルを用いたB型肝炎の高発癌誘発因子の同定
Project/Area Number |
23K14536
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe |
Principal Investigator |
塩田 愛恵 (飯塚愛恵) 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員 (40769585)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | B型肝炎 / 癌化 / マウスモデル / 遺伝子型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、B型肝炎ウイルス感染症において遺伝子型間で発癌誘発活性の違うメカニズムをウイルス側の要因から探索することである。今年度は、細胞培養系での各遺伝子型のHBVゲノムプラスミドを用いた表現系の比較を行い、さらにがん化を評価するためのHBVマウスモデルを立ち上げた。 現在までに、作製した遺伝子型GT-A, B, Cのウイルスゲノム1.3倍長を搭載したプラスミドを用いて、細胞培養系において上清中へのウイルス抗原の分泌パターンに相違があることが分かった。しかし、遺伝子型間の遺伝子導入効率に相違があることが判明したため、GT-Cに特異な高発癌配列を縛りこむためには、遺伝子型間での遺伝子導入効率の違いを少なくする、あるいは、その違いを補正する方法論を検討する必要性が浮上した。 さらに、ハイドロダイナミック法(HDI)を用いたHBVマウスモデルの系を立ち上げ、がん抑制遺伝子のノックアウトとHBV遺伝子をHDIを用いて導入することで、マウスのがん化が促進されるかを検討した。まず、がん抑制遺伝子のノックアウト及びHBV遺伝子導入を組み合わせたマウスモデルでは、3ヶ月で肝臓中に腫瘍が観察される結果となり、がん抑制遺伝子ノックアウトマウスよりも腫瘍形成が早いことが分かった。 しかし、本実験に用いたHDI法によるHBVマウスモデルでは、血中ウイルス抗原(HBs)の分泌が3ヶ月未満で消退することが分かったため、より長期に慢性肝炎を引き起こすマウスモデルを構築中である。当該マウスモデルでは、AAVベクターにHBVゲノム1.3倍長を搭載したAAV/HBVを尾静脈注射により投与することで、長期間の血中ウイルス抗原(HBsAg, HBeAg)が観察されることが報告されている。今後はHDI法及びAAV/HBVマウスモデルを使用し、各遺伝子型間のマウスにおける表現型の相違を解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に必要な材料となる各遺伝子型のゲノムプラスミド及びマウスモデルの構築が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
各遺伝子型のがん化を評価するプラットフォームは構築されたが、今後は細胞培養系では遺伝子導入の実験系の改良、マウスモデルではAAV/HBVマウスモデルの確立を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は、想定よりマウスの購入代金を節約できたため、次年度使用額が生じた。翌年度分では、今年度分に加えて新たなマウスモデルを用いた実験を行うため、順当に使用していく予定である。
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[Journal Article] Viral protease cleavage of MAVS in genetically modified mice with hepatitis A virus infection2023
Author(s)
Lu Sun, Hui Feng, Ichiro Misumi, Takayoshi Shirasaki, Lucinda Hensley, Olga Gonlez-Lopez, Itoe Shiota, Wei-Chun Chou, Jenny P-Y Ting, John M Cullen, Dale O Cowley, Jason K Whitmire, Stanley M Lemon
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Journal Title
Journal of Hepatology
Volume: 78(2)
Pages: 271-280
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research