2023 Fiscal Year Research-status Report
RNA結合タンパクに着目した宿主の抗HIV-1ウイルス生体防御免疫応答
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23K14539
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安田 圭子 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00836265)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | HIV-1 / RNA結合タンパク / 生体防御 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
HIV-1は、CD4陽性T細胞といった免疫細胞を標的として感染し、CD4陽性T細胞の破壊による免疫不全状態である後天性免疫不全症候群(AIDs)発症の原因となる。AIDsは、マラリア、結核とともに世界3大感染症の一つである。抗レトロウイルス療法(ART)によりヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)感染患者の生命予後は大きく改善されたがARTでは体内のHIV-1潜伏感染細胞を駆逐することは困難であり、休薬によりウイルスが再活性化することから終生ARTを継続する必要がある。HIV-1を体内から駆逐する治療法を確立するために、HIV-1に対する宿主の生体防御免疫応答の全貌の理解の重要性は依然として高い。申請者らは、RNA結合タンパクに着目し、特定のRNA結合タンパクが、そのRNA結合能に依存してHIV-1のウイルス複製を強く抑制することを新規に見出した。このタンパクが結合、認識するウイルスRNAの配列を同定し、HIV-1ビリオンの放出が抑制される機序を明らかにする。また、ほぼすべての実験をvitroの系で行っているため、実際にヒト臨床検体における役割を明らかにする目的で、HIV-1感染患者末梢血CD4陽性T細胞におけるRNA結合タンパク発現量と臨床経過の相関を調べる。これらの理解により、このRNA結合タンパクの発現上昇誘導あるいは、このタンパクが結合するウイルスRNAの配列を標的とした核酸医薬開発による新規治療につながる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に予定していたほぼすべての実験を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
HIV-1の複製を抑制する機序について、データを詰め切れていない部分に関して引き続き研究を進める。また、ヒト臨床検体についても、ご協力を得て、研究に必要なデータを十分に得ることができたため、データの整理、解析を進める。
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