2023 Fiscal Year Research-status Report
ミクログリアにおけるRagulator complexのエフェクター分子の探索
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23K14544
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻本 考平 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (00965824)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミクログリア / Lamtor1 / Ragulator複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノムワイド関連解析(GWAS)の知見を土台に、ミクログリアにおけるリソソーム膜上に存在するタンパク質複合体であるRagulator complexの機能に着目して、ミクログリアにおける新規機能制御機構の解明を試みる。まず、ミクログリアにおけるRagulator complexの機能を解析する目的で、Ragulator complexの維持に必須であるLamtor1をミクログリアで欠失させたマウスを作成した。具体的にはCx3cr1-Cre; Lamtor1fl/flマウスを作成し、Lamtor1fl/flマウスと比較したところCx3cr1-Cre; Lamtor1fl/flマウスは寿命が短く、生存中も体重が軽いことが明らかとなった。また、組織学的にもCx3cr1-Cre; Lamtor1fl/flマウスは脾腫をきたすことなども明らかとなった。 これらの現象の背景に存在する機序を解析するために、ミクログリアにおけるRagulator complexの相互作用するエフェクター分子の探索を試みたところ、これまでマクロファージや樹状細胞などの他の細胞種では認められなかった複数のタンパク質が同定された。現在、これらの候補タンパク質の中から個体レベルにおける表現系の原因となりうる経路の同定を試みている。また、CX3cr-1の発現がミクログリアに必ずしも限らないため、時期特異的にLamtor1を欠損させることの可能なCx3cr1-CreERT2; Lamtor1fl/flマウスや、LysM-Cre; Lamtor1fl/flマウスなどの複数の系統のマウスも併用しながら解析を行い、本現象が確かにミクログリアの異常によるものであることの検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの作成やミクログリアの培養を行う系の樹立など、予備的検討も予定通り終了している。また、それらのマウスを用いた基礎的な実験や、細胞を用いての免疫沈降などの実験も予定通り実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
Cx3cr1-Cre; Lamtor1fl/flマウスが示した表現系の個体レベルおよび細胞レベルでの原因同定を行う。具体的にはCX3cr-1の発現がミクログリアに必ずしも限らないため、どの細胞のミクログリアがこうした表現系をもたらすのかを確認している。その方法として時期特異的にLamtor1を欠損させることの可能なCx3cr1-CreERT2; Lamtor1fl/flマウスや、LysM-Cre; Lamtor1fl/flマウス、CD11c-Cre; Lamtor1fl/flマウスなどの複数の系統のマウスも併用しながら解析を行い、みられている表現系がミクログリアの異常によるものであることを確認する。また、並行してLamtor1を欠損したミクログリアの機能解析も行う。これらの表現系の確認とともに、背景にあるメカニズムの道程のために、Ragulator complexの構成要素であるLamtor1と相互作用する可能性のある候補タンパク質を複数同定しており、これらの中から個体レベルにおける表現系の原因となりうるタンパク質を絞りこみ、その相互作用がどのように個体レベルの表現系をもたらすかのメカニズムの解明を試みている。
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Causes of Carryover |
マウスの寿命が短くなるという予想外の表現系を認めたため、質量分析をはじめとする受託解析やその他の解析を行うマウスが想定されるより少なかったために次年度に実験を繰り越さざるをえなかった。各種の実験の成果によって、該当の実験に用いることのできるマウスも確保ができるようになってきており、また現在までに得られた成果に基づき、異常細胞集団の同定などより詳細な遺伝子学的・免疫学的な見地から解析を行うことを予定している。
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