2023 Fiscal Year Research-status Report
Tumor immunosuppression by disruption of the circadian clock of tumor-infiltrating T cells
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23K14569
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鶴田 朗人 九州大学, 薬学研究院, 助教 (40847745)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / 概日リズム / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍組織はがん細胞のみならず、T細胞やマクロファージといった免疫細胞や繊維芽細胞などの様々な細胞によって構成されており、これら細胞によって構築される環境を腫瘍微小環境と言う。免疫チェックポイント阻害薬(Imuune checkpoint inhibitor)は、新しい作用機序に基づいた抗がん剤であり、腫瘍微小環境中に存在する免疫細胞の活性化を介してがん細胞の排除を促すことから様々ながん種に適応を拡大している。しかしながら、免疫チェックポイント阻害剤に抵抗性を示す症例も多く認められ、免疫チェックポイント阻害剤による治療効果を高めるために様々な検討が行われている。免疫チェックポイント阻害剤が奏功しない症例では腫瘍内に浸潤したキラーT細胞が、がん細胞の周辺に到達できてないことが指摘されているが、その原因については不明な点が多い。申請者はこれまでの腫瘍内の免疫細胞の概日時計機構を解析した研究を基に、腫瘍組織に浸潤したT細胞において一部、概日時計機構の変調が生じていることを見出した。また、この概日時計機構の変調を介して局在制御因子の発現変動が生じ、免疫チェックポイント阻害薬の抵抗性に繋がっていることが示唆されている 。また、ヒトの肺がん患者から取り出されたT細胞のシングルセルRNA-seqを解析した結果、マウスで見出された所見と同様の変容が生じていることを突き止めている。今後は、腫瘍に浸潤したT細胞の変容機構について解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
概日時計変調による局在制御因子の変調について解析を行っていく。概日時計変容に関連する因子の発現解析や、ルミサイクルを用いた概日時計機構解析を組み合わせることで、詳細なメカニズム解析を行う。また、変容する局在制御因子の阻害剤を用いることで免疫チェックポイント阻害剤抵抗性の改善が可能であるかについて検討を行う。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた実験が少しずれ込み、次年度初めに行うことになったため、次年度使用額が生じた。
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