2023 Fiscal Year Research-status Report
悪性中皮腫の増殖・転移を加速するCaチャネル活性化を介した新しい分子機構の解明
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23K14595
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
友信 奈保子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (80967638)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | がん / 悪性中皮腫 / S100A16 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性中皮腫は、予後が極めて悪い難治性がんであり、分子学的な病態メカニズムの解明に基づく有効な治療法の確立が望まれている。我々の独自研究からS100A16が悪性中皮腫で過剰発現していることを見出し、S100A16の細胞内での新しい結合タンパク質TRPV2(Ca2+チャネルの1つ)を同定することに成功した。この発見に基づき、悪性中皮腫の進展におけるS100A16-TRPV2相互作用の意義を解明するべく研究を行っている。当該年度は、前述の相互作用が病態にもたらす影響を主に分子レベル・培養細胞レベルで検討した。S100A16-TRPV2相互作用は細胞の増殖・走化性・カルシウム取り込みを亢進させた。さらに、それら相互作用に重要なTRPV2のチロシン部位と、そのリン酸化を担うリン酸化酵素を同定することに成功した。現在、これらのリン酸化酵素領域を不活化したコンストラクトを作成しており、TRPV2のリン酸化の状態がどのように変動するか検討し、また対応する阻害剤などを用いてデータの裏付けを詳細にとっていきたい。動物実験も並行して進めており、S100A16とTRPV2を過剰に発現させた細胞をマウスの皮下に移植したところ、腫瘍の増殖が顕著に促進した。今後は、胸腔内移植や転移モデルを用いて評価していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画がうまく進捗し期待通りの成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、S100A16-TRPV2の相互作用に重要なTRPV2のチロシン部位と、そのリン酸化を担うリン酸化酵素を同定することに成功した。次年度では、これらのリン酸化酵素領域を不活化したコンストラクトや阻害剤を用いて得られたデータの信憑性を確認していく。また、in vitroの成果がin vivoに反映されるかどうかについて、マウス由来悪性中皮腫細胞AB-1の同種移植マウスモデルにて検証する。具体的には、胸腔内投与による内腔壁付着増生腫瘍、尾静脈投与による肺転移、について検討するものとする。腫瘍の増大や転移率についてクローンの発光を頼りに定量化するとともに、体重減少とサバイバルカーブを作成する。実験終了時には腫瘍組織を切除し、切片を作成し腫瘍の状態について病理解析する。さらに、TRPV2阻害剤が腫瘍の増殖抑制に有効かどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
令和5年度に予定したリン酸化酵素を同定する実験で、予定よりも費用が安く抑えられたため、次年度使用が生じた。次年度の動物実験に使用する予定である。
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