2023 Fiscal Year Research-status Report
LRRK2に着目した肺がんにおける化学療法抵抗性獲得の新規メカニズムの解明
Project/Area Number |
23K14601
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
今井 基貴 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (50908457)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 肺がん / 化学療法抵抗性 / LRRK2 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法はがん治療において最も一般的で有望な治療法であるが、がん細胞における化学療法抵抗性獲得の問題があり、治療効果の低下や患者の生存率を悪化させる重大な要因である。そこで、がん細胞における化学療法抵抗性を打開する新たな治療戦略の提唱を目指し、本研究ではがん細胞の化学療法抵抗性という複雑な現象をLRRK2に着目した新たな視点から紐解くことで、そのメカニズムを明らかにすることを目的として、以下の検討を行った。まず、LRRK2の発現量およびキナーゼ活性がシスプラチン感受性に関与しているかどうか肺腺がん細胞を抗がん剤耐性にさせたシスプラチン抵抗性肺腺がん由来培養細胞(A549-cis)を用いて解析した。siRNAによりLRRK2をノックダウンしたA549-cis (LRRK2-KD)では、Negative Controlに比して、シスプラチン感受性の改善が認められた。さらに、A549-cisを特異的LRRK2キナーゼ阻害剤であるMLi-2を用いて処置したMLi-2処置群においても、処置していない群に比してシスプラチン感受性が改善することが明らかとなった。次に、LRRK2発現の抑制がどのような機序でシスプラチン感受性の改善に関与しているかを明らかにすることを目的に以下の検討を行った。近年の報告では、細胞老化がシスプラチン抵抗性の獲得に関与しているとの報告があることから、A549-cis細胞におけるLRRK2発現が細胞老化に与える影響をSA-β-Galやp21発現を指標に解析した。その結果、LRRK2-KDではSA-β-Gal発現の低下と、p21発現の低下することが明らかとなった。以上の結果から、LRRK2発現はA549-cisにおける細胞老化を調節することで、シスプラチン感受性に影響を与えていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
siRNAを用いたLRRK2ノックダウンとLRRK2特異的キナーゼ阻害剤を用いた解析により、LRRK2発現の抑制とキナーゼ阻害がA549-cisのシスプラチン感受を改善することを示せた。また、その機序として細胞老化が関与していることを明らかにした。しかし、LRRK2過剰発現A549-cisを用いたシスプラチン感受試験が難航している。また、臨床検体を用いた解析が完了していないため、やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
臨床検体を用いた免疫染色を実施し、術後補助化学療法による無再発期間とLRRK2発現との関連性を統計学的に解析する。また、カプラン・マイヤー曲線を用いた患者の予後解析、並びに多変量解析を試みることで、術後化学補助化学療法における治療効果予測マーカーとしての評価を行う。さらに、老化細胞マーカーであるp53やRbの発現とLRRK2発現との関係性を検討し、LRRK2が細胞老化に関与していることを明確にする。
|
Causes of Carryover |
培養細胞を用いた検討を当初予定していた規模よりもスモールスケールで実施することができたため、細胞培養にかかる消耗品費用を低く抑えることが出来た。また、ウェスタンブロットに用いる消耗品や抗体にかかる費用も抑えることが出来たためである。生じた次年度使用額を用いて、LRRK2を介した化学療法抵抗性の分子メカニズムの解明のための抗体を購入したいと考えている。
|
-
[Journal Article] Mitochondria Play Essential Roles in Intracellular Protection against Oxidative Stress-Which Molecules among the ROS Generated in the Mitochondria Can Escape the Mitochondria and Contribute to Signal Activation in Cytosol?2024
Author(s)
Masuda D, Nakanishi I, Ohkubo K, Ito H, Matsumoto KI, Ichikawa H, Chatatikun M, Klangbud WK, Kotepui M, Imai M, Kawakami F, Kubo M, Matsui H, Tangpong J, Ichikawa T, Ozawa T, Yen HC, St Clair DK, Indo HP, Majima HJ
-
Journal Title
Biomolecules
Volume: 14
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Mitochondrial oxidative stress, mitochondrial ROS storms in long COVID pathogenesis2023
Author(s)
Noonong K, Chatatikun M, Surinkaew S, Kotepui M, Hossain R, Bunluepuech K, Noothong C, Tedasen A, Klangbud WK, Imai M, Kawakami F, Kubo M, Kitagawa Y, Ichikawa H, Kanekura T, Sukati S, Somsak V, Udomwech L, Ichikawa T, Nissapatorn V, Tangpong J, Indo HP, Majima HJ
-
Journal Title
Frontiers in immunology
Volume: 14
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] LRRK2 negatively regulates glucose tolerance via regulation of membrane translocation of GLUT4 in adipocytes2023
Author(s)
Kawakami F, Imai M, Isaka Y, Cookson MR, Maruyama H, Kubo M, Farrer MJ, Kanzaki M, Kawashima R, Maekawa T, Tamaki S, Kurosaki Y, Kojima F, Ohba K, Ichikawa T.
-
Journal Title
FEBS Open Bio
Volume: 13
Pages: 2200-2214
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-