2023 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害剤耐性例に対する、合成核酸による新規肺癌免疫療法の開発
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23K14622
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
寺西 周平 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (00882458)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 合成核酸 / 合成オリゴデオキシヌクレオチド / 免疫チェックポイント阻害剤 / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行期非小細胞肺癌に対する薬物治療は以前は細胞障害性抗癌剤のみであったが、近年分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤により劇的に進歩し、予後も改善している。しかしいずれの薬剤も、大多数の症例で耐性化が生じるという大きな問題点がある。耐性化の機序として上皮間葉転換、組織学的形質転換、遺伝子変異、腫瘍微小環境内の各種細胞の変化などが考えられる。本年度は癌細胞の浸潤・転移に関わる上皮間葉転換のメカニズムを解明するため、肺癌細胞株とヒト間葉系幹細胞とヒト臍帯静脈内皮細胞を共培養し、細胞間相互作用を有するオルガノイドを作製した。 まずEGFR遺伝子変異陽性細胞株を用いたオルガノイドを作成した。EGFR染色陽性であり、癌細胞と間質成分の間に明瞭な境界を認め、各種細胞がオルガノイドに適切に組み込まれていることを確認した。またスフェロイドと比較しオルガノイドは高度な間質組織組成を示し、in vivoでの腫瘍微小環境を模倣できる可能性が示された。2種の異なるEGFR遺伝子変異陽性細胞株を使用したが、両者に大きな形態学的な違いを認めなかった。 次にEGFRチロシンキナーゼ阻害剤に対するスフェロイドとオルガノイドの反応の違いをルシフェラーゼアッセイで確認した。スフェロイドと比較しオルガノイドでは、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤のIC50が上昇していた。その結果、オルガノイドモデル内では、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性化が強く生じている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当科常勤医が予定より減少したため臨床業務の負担が増加し、研究に従事できる時間が予定よりも減少してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年4月から当科常勤医が増員となり、研究に従事できる時間が確保できる。今後、上皮間葉転換のマーカーであるEpithelial CadherinやZinc-finger-enhancer binding protein 1の発現を、スフェロイドとオルガノイドで確認する。その後、上皮間葉転換を制御可能な合成核酸を同定していく。
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Causes of Carryover |
本年度の研究活動は、当教室がすでに保有していた実験器具や試薬を用いたため、科研費の経費を使用することがなかった。本年度は科研費の経費を用い、実験器具や試薬を購入し、研究を継続予定である。
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