2023 Fiscal Year Research-status Report
New stool biomarker proteins for pancreatic cancer by the proteome analysis
Project/Area Number |
23K14643
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
元尾 伊織 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (70839076)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 便プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膵癌患者の便中に存在する宿主由来の蛋白(プロテオーム)に着目し、膵癌患者と健常者において糞便中のプロテオームのプロファイル結果を比較することで、膵癌患者の糞便中で多く検出されるプロテオームを同定することを目的としました。 令和5年度の目標は、①discovery cohortとして膵癌10例と健常者10例の便中のプロテオームを比較し、膵癌患者で多いプロテオームを同定すること、②それらが腫瘍組織由来であることを病理検体で検証することでした。 まず、膵癌患者と健常者の便のプロテオーム解析によって、便中に宿主由来のプロテオーム2093個を検出し、膵癌患者で有意に多く存在するプロテオームを50個同定しました(p<0.02かつFC>2)。次に、50個のプロテオームから腫瘍との関連が既報で報告されている12個のプロテオームを抽出しました。そして、同定されたプロテオームが腫瘍組織由来であることを確認するために、便を採取した膵癌患者10例の超音波内視鏡下生検検体を用いた免疫染色を行いました。その結果、9個のプロテオームが腫瘍組織で染色され、そのうち6個のプロテオームが腫瘍細胞で染色を認めたことから、腫瘍由来であることが確認されました。また、便を採取していない別の膵癌の手術検体でも同様に6個のプロテオームが腫瘍細胞で染色されることが確認できました。 現在は、それぞれ同定されたプロテオームをELISAによって蛋白測定をするため、条件検討をしています。また、便プロテオーム解析の再現性を確認するため、別の集団での膵癌患者と健常者の便を収集しています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の目標は、①discovery cohortとして膵癌10例と健常者10例の便中のプロテオームを比較し、膵癌患者で多いプロテオームを同定すること、②それらが腫瘍組織由来であることを病理検体で検証することでした。 まず、膵癌患者と健常者の便のプロテオーム解析によって、便中に宿主由来のプロテオーム2093個を検出し、膵癌患者で有意に多く存在するプロテオームを50個同定しました(p<0.02かつFC>2)。次に、50個のプロテオームから腫瘍との関連が既報で報告されている12個のプロテオームを抽出しました。そして、同定されたプロテオームが腫瘍組織由来であることを確認するために、便を採取した膵癌患者10例の超音波内視鏡下生検検体を用いた免疫染色を行いました。その結果、9個のプロテオームが腫瘍組織で染色され、そのうち6個のプロテオームが腫瘍細胞で染色を認めたことから、腫瘍由来であることが確認されました。また、便を採取していない別の膵癌の手術検体でも同様に6個のプロテオームが腫瘍細胞で染色されることが確認できました。そのため、当初の目標は達成できており、概ね順調に進展していると判断しました。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度の目標は、①プロテオーム解析で同定された便中の蛋白について、ELISAでも検出できるようにすること、②別の集団で再現性を確認するための、糞便収集としていますので、それに向けて、現在ELISAの条件検討をしながら、糞便収集を継続しています。
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Causes of Carryover |
便プロテオーム解析にかかる費用、腫瘍組織を用いた免疫染色に関する費用を見込んでいましたが、共同研究によってプロテオーム解析や免疫染色を外部委託する必要がなくなったため、費用を抑えることが可能であったことが理由と考えられます。そのため、次年度使用額として、ELISAのための抗体、リコンビナント、その他に必要な試薬の購入に対する費用として使用することを予定しています。
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