2023 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤耐性獲得膵がんの分子病態解明と治療方法開発への応用
Project/Area Number |
23K14644
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上原 将大 金沢大学, がん進展制御研究所, 博士研究員 (90909508)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵がん / 抗がん剤耐性 / 分子メカニズム / cyclin D2 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤獲得耐性の新たなメカニズム解明のため、親細胞BxPC-3とGEM獲得耐性細胞を比較解析した。その結果、GEM獲得耐性細胞においてcyclin D2発現は突出していたが、遺伝子増幅は観察されなかった。cyclin D2発現は多くのがん細胞においてDNAメチル化によって抑制されていることが知られており、親細胞はDNA脱メチル化剤処理によってcyclin D2発現が上昇することが確認された。このことから、GEM耐性細胞におけるcyclin D2発現はDNA脱メチル化によることが明らかとなった。さらに、cyclin D2のノックダウンがGEM感受性を高めることから、cyclin D2がGEM獲得耐性の新たな責任分子である可能性が示唆された。また、GEM耐性を示す膵がん細胞株PANC-1と膵がん肝転移巣由来細胞株PK-1においてもcyclin D2発現が認められ、GEM耐性とcyclin D2の関連が示唆された。in vitro kinase assayによる解析では、GEM耐性細胞においてCDK6の酵素活性が亢進していた。共免疫沈降法による解析では、cyclin D2はCDK6と特異的に結合していた。イソボログラム解析では、GEMとCDK4/6阻害剤の併用効果は相乗的と判定された。以上の結果から、GEM獲得耐性細胞ではエピジェネティック変異によって発現したcyclin D2がCDK6活性を亢進し、GEM獲得耐性に寄与していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の予定通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って研究を進める。
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