2023 Fiscal Year Research-status Report
一酸化炭素持続放出分子を用いた新規認知症治療薬の開発
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23K14690
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安田 謙 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90883265)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ペリサイト / 血液脳関門 / 血管性認知症 / アルツハイマー病 / オリゴデンドロサイト / 一酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
一酸化炭素は、人体に重篤な障害をもたらす猛毒であるが、低濃度の一酸化炭素は生体内でも産生されており、臓器・細胞保護作用を示すことが知られている。本研究の目的は、血管性認知症・混合型認知症におけるペリサイト異常に伴う血液脳関門(BBB)障害や、オリゴデンドロサイト(OLG)分化障害に対する一酸化炭素持続放出分子(CORM-3)の効果を詳細に検証し、一酸化炭素療法の臨床応用のための研究基盤を確立することである。
まず、細胞実験ではマウスのペリサイトに低酸素低糖負荷(OGD)を加えて、CORM-3を添加することでその治療効果を検証した。細胞死のアッセイでは、低濃度(400μM)のCORM-3はOGDによるペリサイトの細胞死を有意に軽減させた。また、ウェスタンブロットでHif1-αとMMP-9の上昇を抑制した。OGDペリサイ トへCORM-3を添加した後に、その細胞上清を回収しオリゴデンドロサイト(OLG)へメディアトランスファーしたところOLGの分化障害が改善した。次に、CORM-3を血管性認知症モデルマウスへ投与し、改善効果が得られる至適条件を検討した。術後1ヶ月でOLGの分化マーカーであるミエリン塩基性蛋白(MBP)の改善を認め、さらにBMP-4, Hif1-α, MMP-9の発現上昇の抑制も確認した。現在はCORM-3を投与した血管性認知症モデルマウスの行動解析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞実験、動物実験いずれもCORM-3の治療効果が確認できている。来年度は更なる分子メカニズムの検証を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
CORM-3によるペリサイトの形質変化を多タイムポイントでRNA-seq解析により、網羅的に解析する。
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Causes of Carryover |
購入予定であった抗体が持ち合わせのものがあったため。またRNA-seq解析を令和6年に施行することになったため。
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Research Products
(5 results)