2023 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病患者のオステオサルコペニアの病態解明と治療法開発
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23K14728
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
橋本 博子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (60846062)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オステオサルコペニア / 慢性腎臓病 / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症とサルコペニア両者を合併したオステオサルコペニアは、骨粗鬆症またはサルコペニア単一病態を罹患した場合と比較して転倒、骨折、ADLの低下、死亡のリスクを増大させることが明らかになり、高齢化社会が進展する中注目を集めている。骨粗鬆症、サルコペニアは慢性腎臓病患者の重大な合併症であるが、透析による腎代替療法では治療ができず、治療薬が未開発であるため、治療法開発が喫緊の課題である。 代表者はこれまで、291 名の血液透析患者で後方視的コホート研究を行い、血液透析患者に使用される既存の薬剤の中から、サルコペニアの進行リスクに関わる薬剤およびオステオサルコペニアの進行リスクに関わる薬剤をそれぞれ同定した(Hashimoto H. J Ren Nutr 2023)。 また、同コホートをプールコホートとした新たな後方視的コホート研究を行い、その結果、筋量増加効果を示す薬剤を新たに同定した。さらに、慢性腎臓病患者に合併する腎性貧血の治療薬であるエリスロポエチン製剤の必要量が多い患者ではサルコペニアの進行リスクが高まることも明らかにし、透析患者の筋量低下のメカニズムの一端を示唆する成果を得られた(Hashimoto H. JCMS Commun 2024)。 このように代表者はサルコペニアおよびオステオサルコペニアに影響する既存の薬剤を新たに見出しており、当該研究によって、慢性腎臓病患者のサルコペニアおよびオステオサルコペニアのバイオマーカーや分子メカニズムと紐づけられる解析をさらに進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2編の臨床研究(Hashimoto H. J Ren Nutr 2023, Hashimoto H. JCMS Commun 2024)において、サルコペニアおよびオステオサルコペニアの進行リスクに関連する薬剤、またサルコペニアの進行抑制効果が示唆される薬剤を新たに明らかにすることができた。これらの知見にもとづいて、治療法開発のための研究に着手することが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに解析を進めてきた複数のコホート研究に加えて、前方視的コホート研究も樹立し、検体採取、臨床情報収集、dual-energy X-ray absorptiometry(DXA)法による骨密度と骨格筋量の測定、運動機能の評価を追跡開始している。オステオサルコペニアの進展に関わる高感度/特異度の生物学的指標の同定を目指す。また、慢性腎臓病・サルコペニア・骨粗鬆症の疾患モデル動物を樹立、解析に着手している。網羅的オミクス解析で絞り込んだ分子群について、培養細胞を用いて機能解析を進める。候補となる機能分子群の阻害剤や、これまで明らかにしたオステオサルコペニアの進行リスク低下に関連する既存薬の中から、オステオサルコペニアモデル動物の治療効果を発揮する化合物、薬剤を明らかにする。
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[Presentation] 透析患者におけるESA抵抗性,HIF-PH阻害薬の使用と,骨格筋量低下速度の関連2024
Author(s)
橋本博子, 萬代新太郎, 志熊聡美, 千葉欣彦, 境桂吾, 木村萌恵, 太田潤, 當間勇人, 坂口祐希, 木村麻衣, 内田信一
Organizer
第67回日本腎臓学会学術総会
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