2023 Fiscal Year Research-status Report
前頭葉内側の機能温存:広帯域皮質脳波による切除術術前の皮質信号限界値設定
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23K14757
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
音成 秀一郎 広島大学, 病院(医), 助教 (70847996)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 運動準備電位 / てんかん / 皮質脳波 / 補足運動野 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治焦点てんかんの根治には、てんかん焦点の完全切除だけでなく、術後脳機能の温存が必要不可欠である。本研究では、前頭葉外側と強い機能的結合性を有し、運動制御に関わる前頭葉内側皮質に対して、非侵襲的脳機能同定法の応用が可能かを明らかにすることを目的とする。従来、てんかん焦点の同定および手術においては、侵襲的な皮質電気刺激検査が必要であった。しかし、この方法は患者への負担が大きく、術後の脳機能温存においても課題が残っている。非侵襲的な脳機能同定法が前頭葉外側以外にも適用可能となれば、これらの課題を克服し、より安全かつ効果的な手術計画が立てられる。
よって本研究の目的は以下のとおりである:1)前頭葉内側皮質における非侵襲的脳機能同定法の応用可能性を検証する。2)侵襲的な皮質電気刺激検査に代わる非侵襲的手法を確立し、運動制御機構を包括的に同定する。3)前頭葉内側での複雑な運動関連皮質活動を広帯域皮質脳波で捉え、同領域の皮質間脳機能ネットワークを解明に寄与する。
前頭葉内側皮質から記録された運動関連皮質活動のうち,脳機能マッピングに活用できる周波数帯をまず明らかとし,脳切除術に際した脳機能温存の予測スコアリングを確立させることを目指しているが、スコアリングの立ち上げに必要な症例数が蓄積されていない。そこで過去の硬膜下電極留置例のデータを後方視的に脳機能マッピングに活用できる周波数帯を探索した。運動準備電位で認める低周波帯域と高周波律動の同時記録データにより、それぞれの周波数帯域の出現の相関性を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SEEGでの手術症例が近年増えている背景があり、てんかん焦点切除術の症例数が限られており、また補足運動野を対象とした症例の蓄積が特に必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
SEEGでの手術症例が近年増えており、硬膜下電極ではなくSEEGでの脳波記録による脳波解析が可能か少数例で検証する。 また硬膜か電極を留置した症例の蓄積を継続する。
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Causes of Carryover |
症例の蓄積に時間を要しており、解析に必要な症例数にまで至っていないため解析ソフトは使用しなかったことと、それによって学術集会での発表機会が少なかった。またHDDの購入は予定より少なく済んだ。来年度は、症例数の蓄積を継続し予定通りの統計解析ソフトも用いて解析を行なっていき、国際学術集会での発表も予定している。
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