2023 Fiscal Year Research-status Report
ライフイベントに関連した心理的苦悩症状に着目した気分障害の探索的治療法開発研究
Project/Area Number |
23K14793
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 愛子 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (20831522)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 心理的苦悩症状 / ライフイベント / 気分障害 / 評価尺度 / ERPD-24 / 介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
心的外傷後ストレス障害の診断基準に満たない、より日常的に起こりうる出来事に関連した心理的苦悩において、「気分障害患者のライフイベントに関連した心理的苦悩症状のための尺度開発(20K16616)」にてその評価に特化した評価尺度「ERPD-24」を作成した。この心理的苦悩症状(Event-Related Psychological Distress:ERPD)が気分障害の回復阻害要因となる可能性を考え、ERPDが気分障害の経過・予後に及ぼす影響を前向きコホート調査にて明らかにすること、ERPDに焦点を当てた心理教育的介入法を作成し、探索的試験によりERPDおよび気分症状の介入前後での変化を評価することを研究課題としている。
令和5年度は、「研究Ⅰ.気分障害におけるERPDの経過・予後に関する前向きコホート調査」を実施した。うつ病・双極性障害を持つ被験者に対して、評価尺度を初回および各被験者が異なる気分状態に至った際に使用し、データを蓄積している段階である。また、2回目以降の評価時期に関しては、被験者の気分状態に依存するため、過去の研究で初回調査が終了している被験者のフォローのみならず、新規の被験者へのリクルートの体制を整え、より効率的に調査が進められるようにした。
令和6年度は、研究Ⅰのコホート調査を継続する。また、「研究Ⅱ.心理的苦悩症状(ERPD)の介入プログラム作成研究」に関しては、ERPDが「復讐心・反芻・自己否定・精神麻痺」の4要素から構成されることから、それぞれに対する介入を可能とするため、4要素の治療的介入に関しての文献調査を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は、気分障害の経過・予後にERPDが及ぼす影響について明らかにするため、心理的苦悩症状を持つ、20-64歳の気分障害患者(双極性障害・うつ病)を対象に「研究Ⅰ」を実施した。うつ病患者は抑うつ状態及び寛解時、双極性障害患者は抑うつ状態、躁・軽躁状態、寛解時にERPD-24を実施し、気分症状の評価には簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)を用いた。2回目以降の評価時期に関しては、被験者の気分状態に依存するため、過去の研究で初回調査が終了している被験者のフォローのみならず、新規の被験者へのリクルートの体制を整え、より効率的に調査が進められるようにし、データを蓄積している。令和5年度は「研究Ⅰ」に注力し、「研究Ⅱ」に関しては準備の段階にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、主に「研究Ⅰ」を実施してきた。「研究Ⅰ」に関しては前向きコホート研究であり、2回目以降の評価時期に関しては、被験者の気分状態に依存するため、引き続き被験者のフォローを継続し、データを蓄積していく。「研究Ⅱ」に関しても、ERPDが「復讐心・反芻・自己否定・精神麻痺」の4要素から構成されることから、それぞれに対する介入を可能とするため、令和6年度は4要素の治療的介入に関しての文献調査を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
令和5年度は、過去の研究で初回調査が終了している被験者のフォローを主に行い、新規の被験者へのリクルートに関しては体制作りの段階であったため、被験者への謝金に要した金額が少なかった。令和6年度にも現在の研究を継続し、新規被験者の導入を予定しており、次年度使用を計画している。
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