2023 Fiscal Year Research-status Report
神経線維腫症1型における遺伝型と精神医学的表現型の解析-早期発見と介入を目指して
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23K14798
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
名和 佳弘 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (10908312)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 神経線維腫症1型 / 神経発達症 / シークエンス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経線維腫症1型(NF1)は、皮膚、神経系など多種病変が出現する単一遺伝子疾患であり、神経発達症の高い併存率が知られているが診療体制の不備、予後予測の困難さから早期発見、早期介入が不十分であり、二次障害に繋がっている可能性がある。NF1は、発症に至るNF1上の病的バリアントが複数あり、その結果現れる表現型との相関は不詳であり、ゲノムバリアントを起点とした予後予測、病態解明、新規治療法の開発の遅れの一因となっている。本研究では、NF1患者を対象に、シークエンス解析と神経発達症や精神症状の詳細な臨床表現型の評価を行うことで、遺伝型-表現型の相関を明確化し、NF1患者における神経発達症の早期発見、早期介入に繋げることを目指している。 本年度は、症例の蓄積と解析を行った。当院を受診したNF1患者を対象に、神経発達症の評価として、以下の定量的検査法を施行した。①自己記入式質問紙:自閉症スペクトラム指数(AQ)、対人応答性尺度(SRS-2)、ADHD評価スケール(ADHD-RS)を用いたASD、ADHDのスクリーニング及び症状の重症度評価。②児童精神科医による小児の精神疾患の半構造化面接であるK-SADS-PLを用いた診断の確認。③個別式知能検査:WISC-Ⅳによる知能評価。得られた情報については随時まとめている。 また、シークエンス解析として患者本人からは原則血液サンプル、両親からは唾液サンプルを入手し、DNA抽出及び全ゲノム解析を実施している。シークエンス解析は当初全エクソーム解析を予定していたが、最新の研究報告やシークエンス価格の低下から全ゲノム解析に変更した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和6年度中に30名程度の患者の参加を予定しているが、令和5年度中に20名以上の患者から参加同意を頂き、DNAサンプルを入手できた。またそのうち9家系は両親を含めたトリオでのDNAサンプルが入手できている。サンプリングしたDNAはある程度集まったところで全ゲノム解析に提出している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究参加者を集い、目標人数の達成を目指す。 得られた臨床表現型情報を随時まとめていく。 全ゲノム解析によって得られたバリアント情報の遺伝統計学的解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
サンプリングによって得られたDNAの調整に時間がかかり、年内にシークエンス解析に提出できる数が予定より少なくなったため、次年度使用額が生じた。残りの使用額については次年度のシークエンス解析に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)