2023 Fiscal Year Research-status Report
investigation of novel biomarkers for depression by multi-omics analysis of the human biological hippocampus and blood samples
Project/Area Number |
23K14804
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
影山 祐紀 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90964891)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | うつ病 / 内側側頭葉てんかん / マルチオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病の病態基盤に海馬での神経新生の低下が示唆されている。またうつ病に関連する脳部位として海馬の他に前頭前野、前部帯状回、扁桃体などがあり、これまでに死後脳を用いた研究が行われているが、死後脳を用いた研究は死因や死後に脳が保存されるまでの時間などが交絡因子となることが知られている。そのため脳の生体試料を用いた研究が望ましいが、侵襲性が高いため難しいという限界がある。 てんかん患者のうつ病有病率はおよそ30%と、一般人口のうつ病生涯有病率である約6%と比較して高値である。特に、海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん難治性患者のうつ病の割合は約50%とされる。内側側頭葉てんかんの発作に関連する脳部位は、海馬、扁桃体を含む側頭葉、帯状回を含む前頭葉、基底核や視床などが含まれており、その神経ネットワークはうつ病に関連する神経回路と類似している。そのため、内側側頭葉てんかんは、うつ病の病態基盤を理解するのに適した疾患であると言える。今回、海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかんの手術で摘出された海馬を用いることで、これまで難しいとされてきた脳の生体試料のマルチオミクス解析を行い、うつ病併存群と非併存群でデータを比較できる環境が整った。 本研究課題の核心をなす学術的「問い」は、うつ病併存群と非併存群において海馬のマルチオミクスデータを比較することにより、これまでうつ病で指摘されてきた神経新生の低下に関係する詳細なパスウェイを解析することと、新たな病態の知見を探索することである。本研究を通じて得られる知見により、うつ病の脳病態の新たな知見の発見や脳情報に基づいた診断バイオマーカーの発見につながることが期待される。 今年度は試料収集を行い、1例の生体脳を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はてんかんの脳部分切除の外科症例が非常に少なく、当初予定していた収集数10例を下回っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
症例の収集について他施設でも並行して行えるか検討を行なってる。 また、内側側頭葉以外のてんかんについても症例として加えることを検討している。
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Causes of Carryover |
検体収集のための物品購入などで当初の予定金額と概ね同じ程度の使用額となっている。 次年度使用額については検体のマルチオミクス解析の費用に充てる予定としている。
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