2023 Fiscal Year Research-status Report
Pathophysiology of autism spectrum disorders focusing on cellular senescence and search for novel treatments
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23K14811
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮島 真貴 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (30779773)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 細胞老化 / 病態解明 / 新規治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞老化は,細胞にストレスが加わったとき不可逆的に細胞周期を停止して異常な細胞の増殖を防ぐ, 生体防御システムの一つである. 通常, ダメージを受けた老化細胞は,サイトカインやケモカインなど様々な生理活性物質を分泌する細胞老化随伴分泌形質となることで貪食細胞を動員し, 不要な細胞を除去する働きを持つ.一方で,この老化細胞が蓄積することで, さまざまな慢性炎症を引き起こすことも知られている. これまでの研究はASDの発症リスクとされる母体免疫活性化によって生まれた子孫はASD様の行動異常を示すことが分かっており,我々はこれら母体免疫活性化モデルを使用したASDモデルマウスにおいて,細胞老化した神経芽細胞が蓄積し,神経突起を過剰に形成していることを見出した.これらのことからASDの主要な病態である神経突起やシナプスの刈込不全の病態に細胞老化が関与している可能性を見出した. 本年度はASDモデルマウスの組織における老化関連遺伝子の発現を解析し,ASD様の行動異常との関連性を検証した.また,in vitroで神経芽細胞に細胞老化を誘導して神経突起の形態および分子レベルでの変化を分析した.さらに,神経突起が刈り込まれない原因を分析するために,免疫細胞の貪食作用について検証し,刈込不全に関与する生理学的機序を推定することができた.今後は,神経芽細胞の細胞老化を標的とした新規治療薬の探索を行っていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,①ASDの発症に神経芽細胞の細胞老化の関与を明らかにする②老化した神経芽細胞のシナプスの刈込異常を明らかにするという2点の研究目的について順調に解析が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにシナプス刈込不全に関わる細胞老化関連因子を明らかにすることができた.今後はこれまでに同定した関連因子に基づき,神経芽細胞の細胞老化を標的とした新規治療薬の探索を実施する.
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Causes of Carryover |
今年度は物品費用において新規で購入する予定の物品がなかったことから,予定よりも使用額が少なくなった.次年度は新たな研究手法と網羅的な解析を実施するため,今年度使用しなかった物品費用が後ろ倒しとなり次年度での支出になる.さらに次年度は研究成果を発信する予定のため,それらの費用を鑑みて計画的に使用する予定である.
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