2023 Fiscal Year Research-status Report
磁化率強調画像と光干渉断層法を用いた脳動脈瘤壁鉄沈着と菲薄化の関連の解明
Project/Area Number |
23K14847
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
吉田 純 岩手医科大学, 医学部, 助教 (50869047)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳動脈瘤 / 瘤壁 / 鉄沈着 / 光干渉断層法 / 定量的磁化率マッピング / 7TeslaMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
体内に存在する過剰な鉄は酸化ストレスにより組織障害を来すと言われている。近年、脳動脈瘤壁への鉄沈着が明らかになっており、その結果、脳動脈瘤の病勢が進行する可能性が考えられている。 動脈瘤壁の菲薄化と鉄沈着の関連は、脳動脈瘤頚部クリッピング術中に脳動脈瘤の一部を切除し、病理学的に観察する方法からも報告されている。しかし、クリップ後に脳動脈瘤の全体を観察することは不可能であり、脳動脈瘤の一部を切除する事で出血リスクが伴う。 In vivoで組織の鉄沈着を検出する方法として、MRIにおける磁化率強調像が挙げられる。最近磁化率を定量化できる磁化率強調マッピング(QSM)が開発され、脳血管壁の鉄沈着を検出し得た報告がされている。当施設では、高磁場7T MRIにて高い精度で磁化率を定量化できるQSMを開発し、臨床応用を行っている。 一方、光干渉断層法(OCT)を用いて直接瘤壁の厚さを測定する事が可能になっている。動脈瘤へ近赤外光を放射状に照射し、反射する光と、OCT装置内部の固定光路を通ってくる参照光とを、合波することによって生成する干渉光信号を検出し、2次元の断層画像が取得できる。得られた画像から瘤壁の厚さの計測が可能である。 本研究は術前未破裂脳動脈瘤で7TeslaMRIで取得したQSMを用いて瘤内の鉄沈着を開頭術中の脳動脈瘤に対してOCTを用いて瘤壁の厚さを定量化し、その関係を解析する事で「脳動脈瘤壁の鉄沈着の程度が脳動脈瘤壁の菲薄化に関与しているか」という仮説を明らかにする。現在、当施設にて臨床研究と認可を受けるべく倫理申請を提出し、受理を待っている状態である。症例を集積するためのプロトコールを作成した。OCTを手術中に実用化するための手術器具の作成が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床研究と認可を受けるべく倫理申請を提出し、受理を待っている状態であるため、症例収集を開始できていない。 光干渉断層法を手術中に安全に実用化するための手術器具の作成中であるため症例収集を開始していない。
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Strategy for Future Research Activity |
当施設の倫理委員会より、臨床研究として認可を受けた後に早急に症例収集できるように研究体制を構築する。 手術中に安全に使用できるような光干渉断層計を作成する。 正確で安定した結果が得られるように測定方法を洗練させる。
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Causes of Carryover |
当該年度に購入予定であった光干渉断層計を購入しなかったため。購入しなかった理由としては、倫理申請受理と研究方法(測定方法と光干渉断層計の使用方法など)の確立に時間が要した事で、当該年度は症例収集を実施できなかったためである。症例収集開始後は次年度使用額から光干渉断層計の費用を支出する予定である。
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