2023 Fiscal Year Research-status Report
末梢血管カテーテル治療に従事する医療従事者の被ばく要因分析と防護方法に関する研究
Project/Area Number |
23K14911
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
芳賀 喜裕 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (10771488)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 水晶体被ばく / 末梢血管内治療 / 放射線被ばく防護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新型水晶体線量計を用いて末梢血管内治療に従事する医療従事者の正確な水晶体被ばくの解明と被ばく管理・防護の見直しを目的とする。初年度は、末梢血管内治療と心臓血管内治療に従事する医療従事者の水晶体被ばく線量を長期的に比較評価した。法令では、1年間で50mSvもしくは5年間で100mSvとされている水晶体被ばくが、末梢血管内治療では平均28.8mSv/年(2名)、心臓血管内治療では平均5.5mSv/年(14名)、カテーテルアブレーションでは平均4.8mSv/年(5名)、構造的心疾患治療では平均13.5mSv(7名)となり、末梢血管内治療で最も高い結果となった。これは、法令の5年間で100mSvを1年平均した値(20mSv)よりも高く、次年度以降も継続評価が必要と考える。また、該当年度は、科研費研究(20K16686)で試作した放射線被ばく防護具を利用し、末梢血管内治療に従事する医師の防護効果の検討を行った。1ヶ月ごとに防護具の内側と外側に新型水晶体線量計を取り付け、1年間継続的に評価した。防護具の外側は平均4.7mSv/月で、内側は1.0mSv/月となり防護効果は77.6%となった。この防護効果は、市販されている鉛当量0.07mmの放射線防護眼鏡の防護効果(60%程度)よりも高い防護効果となり、末梢血管内治療に有用な防護具と判断できた(Haga Y, et al. Sci Rep. 2017, 7(569))。しかし、防護具内部の被ばく線量は、1年間で12mSvであり、1年間平均の線量限度(20mSv)の6割となりため、次年度は更なる被ばく低減対策の検討する予定である。以上の結果は、当該年度に学会発表を行なった。次年度は、1検査ごとの水晶体被ばくを詳細に再解析を行い、論文発表等を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、末梢血管内治療を含む血管内治療に従事する医師の水晶体被ばくの測定を行い、末梢血管内治療時の水晶体被ばくが高いことを明らかにした。また、試作防護具を使用して防護効果についての測定を行い、その結果を学会で発表した。以上より、本研究は概ね順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当該年度に末梢血管内治療に従事する医師の水晶体被ばくが高いことを確認したが、法令の5年間で100mSvを1年平均した値(20mSv)よりも高い結果となったため、次年度以降も継続評価して評価を行う。また、実際どのような手技で被ばくしているかを1検査ごとに詳細に評価する予定である。加えて、被ばく関連の危険因子についても集計し、被ばく要因について検討する。また、当該年度に評価した防護具の改良と追加防護具の開発行い、1年平均の半分以下(10mSv)まで放射線被ばくを低減することを目標に検討する。
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Causes of Carryover |
次年度は、末梢血管内治療に従事する医師の測定人数を増やし詳細に評価するため、線量計の購入に助成金を使用する予定である。加えて、防護具の再検討と開発のために使用する。また、本研究結果を学会等で発表も予定しているため、旅費としての使用を考えている。
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