2023 Fiscal Year Research-status Report
Phenylalanine Restriction in BNCT to Enhance L-BPA Uptake in Tumor
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23K14924
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
玉利 勇樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20794944)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | BNCT / L-BPA / フェニルアラニン / LAT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)はホウ素薬剤をがんに選択的に集積させ、中性子照射による核反応で生じる2つの重粒子によりがんを治療する放射線治療の一種である。L-Boronophenilalanineは現在日本国内唯一保険適応となっているホウ素薬剤であり、アミノ酸トランスポーターであるLAT1から取り込まれることが明らかになっている。現在BNCTは頭頸部腫瘍で保険適用となったが、問題点として10B濃度の不足があり、患者によっては10B濃度の腫瘍と正常組織のホウ素濃度比が小さいことがしばしば問題になる。 ヒト舌癌由来細胞株SAS、ヒト神経膠芽腫由来細胞株U87MG、ヒト膵臓がん由来細胞株Panc-1、ヒト悪性黒色腫由来細胞株A375及びヒト表皮角化細胞株HaCaTにおいてフェニルアラニン制限時のBPA取込及びBNCTの治療効果改善について調査した。 SAS、U87MG、Panc-1ではフェニルアラニンを枯渇させることによりBPAの取込が増加した。特にSASのフェニルアラニン制限によるBPA取込量増加は非常に大きく通常培地で培養された場合の4倍以上だった。A375及びHaCaTではBPAの取込量に変化はなかった。培地中のフェニルアラニン濃度、フェニルアラニン制限時間を変更してBPA取込の最適条件を調査した。中性子照射は京都大学複合原子力科学研究所の研究用原子炉で行われた。SAS、U87MG及びPanc-1に対して中性子照射を行いコロニー形成法によりBNCTの効果について調査した。その結果、すべての細胞でフェニルアラニン制限によるBNCTの効果上昇が認められた。 本研究により様々な細胞株におけるフェニルアラニン制限によるBPA取込亢進およびBNCTの地超効果改善が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞株におけるホウ素濃度の測定や中性子照射実験など2023年度に予定されていた実験については問題なく完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度に計画されている担癌マウスおけるBPA取込とBNCT治療効果の調査を行うために、動物実験計画書提出及び共同利用申請は完了している。細胞実験の結果から、フェニルアラニン制限によるBPA取込およびBNCT治療効果亢進への影響が最も大きかったヒト舌癌由来細胞株SASをヌードマウスの大腿部に移植し担癌マウスを作成する。担癌マウスのフェニルアラニン制限はフェニルアラニン不含飼料を用いて行う。
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Causes of Carryover |
残額が研究用消耗品を購入するには少額であったため、2024年度使用額と合わせてヌードマウス費用や交通費に補填する。
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