2023 Fiscal Year Research-status Report
高脂血症の網羅的遺伝子解析による遺伝学的多因子発症機序の解明
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23K14937
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島 彦仁 東北大学, 大学病院, 助教 (20822878)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高脂血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、家族性高コレステロール血症に関して、その病態に寄与する多因子、及び、軽微な影響を有する遺伝学的変化の集積による病態を解明することを目的として、希少有害変異の同定されない小児高脂血症患者を集積し、公共バリアントデータベースと組み合わせることによる解析を実施している。 本年度は、母集団となるコホートの構築として、3症例の遺伝学的解析を実施した結果、1症例において、家族性高コレステロール血症の病因として合理的である稀少有害変異を有さない小児患者を一例同定した。本症例の同意を得て、現在全ゲノム解析による病態解明を行っている。 また、その他に、同様の経過を呈した1症例の両親の全ゲノム解析を行った。これにより発端者で複数同定されたバリアントの由来を解析し、本症例の両親由来のLDLRのアミノ酸配列を同定した。
上記のデータをもとに、機能解析を実施している。機能解析系は従来の方法を一部変更し、最新の知見による解析系を構築中である。具体的には、CRISPER-CAS9によって、LDLRをノックアウトし、かつ反応系を組み込んだ細胞を使用し、変異LDLRをトランスフェクトするもので、現在実験条件の調整を行っている。本解析系を用いることで、安価に複数変異を一括して評価可能であり、バリアント毎の遺伝学的な効果を一覧としたカタログの構築に寄与するものと期待される。これらのデータでは東北メディカルメガバンクのデータと突合することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予測されたよりも症例数の集積が進まないため、一部に遅延がみられる。
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Strategy for Future Research Activity |
・一部を修正しより正確な機能解析系の構築完了を、2024年10月まで目途にして行う。
・現在までに集積された患者コホートをもとに、遺伝学的解析を継続して実施する。
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Causes of Carryover |
一部、機能解析系の構築に要する実験資材を解析系の構築の進捗にあわせて発注している。欧州から購入する資材の一部において、物流が滞っていることから納品が年度を超えることとなった。
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