2023 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化とマイクロRNAに着目した新生児慢性肺疾患の病態解明
Project/Area Number |
23K14956
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
前田 創 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助教 (90746059)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 新生児慢性肺疾患 / 細胞老化 / マイクロRNA / マイクロRNA-34a |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児慢性肺疾患(CLD)は、早産児の重篤な合併症の一つで、酸素や人工呼吸がリスク因子であり、その病態として、発育過程の肺胞発達の停止または遅延が特徴的である。これまで、我々は細胞老化と肺胞発達、マイクロRNAに着目し、CLDの研究を行ってきた。申請者は、高濃度酸素暴露で作製したCLDマウス肺とマウス肺胞上皮細胞において、マイクロRNA-34a(miR-34a)が上昇し、細胞老化細胞の割合も増加すること、さらに、In vitroでは、miR-34a阻害剤が高濃度酸素に誘導された細胞老化を抑制することを明らかにした。本研究の目的は、CLDモデルマウスにおいてmiR-34a阻害剤がどのように細胞老化を制御し、肺傷害を改善させるかを分子生物学的、病理組織学的に評価し、CLDの有効な治療法開発に発展させることである。今回、CLDモデルマウスを用いて、日齢1、3にmiR-34aの阻害剤(20μM)とコントロール(生理食塩水)を鼻腔内に投与し、各群n=5-8の群に分け、日齢3と7にマウスの肺を採取した。日齢3の摘出した肺において、CLDモデルマウスのコントロール群に比較して、miR-34a阻害剤を投与した群でmiR-34aの発現が有意に減少していることを確認した。その後、細胞老化マーカーのp53、p21、p16のmRNAの発現とp21のタンパク発現が、CLDモデルマウスのコントロール群と比較してmiR-34a阻害剤を投与した群で、有意に低下していることを確認した。さらに、SASP因子のPAI-1のmRNAの発現も同様にCLDモデルマウスのコントロール群と比較してmiR-34a阻害剤を投与した群で有意に低下していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CLDモデルマウスを用いて、日齢3の摘出した肺において、コントロールと比較してmiR-34a阻害剤を投与した群でmiR-34aの発現が有意に低下していることを確認した。さらに、細胞老化マーカーのp53,p21,p21,PAI-1のmRNAの発現、p21のタンパクの発現が、miR-34a阻害剤を投与した群で有意に低下していることが確認できた。CLDモデルマウスにmiR-34a阻害剤を投与することで細胞老化を抑制する可能性があり、進捗状況はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、CLDモデルマウスのmiR-34aを投与した群において、その他の細胞老化マーカーである、核内ラミンB1排泄、SA-βGAL活性、γH2AXや53BP1などのDNA傷害マーカー、Ki67の免疫染色を用いて細胞の増殖状態が変化しているかどうかを確認する予定である。
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Causes of Carryover |
コントロールにmirVana miRNA Inhibitor Negative Controlを使用する予定であったが、投与群で仔マウスが死亡してしまい、必要な肺検体を採取できなかったため、次年度はコントロールに生理食塩水ではなく、mirVana miRNA Inhibitor Negative Controlを投与した群を作製する予定である。
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