2023 Fiscal Year Research-status Report
Ⅰ型インターフェロン異常症に関連する新規遺伝子変異の病態解明と新規治療法の探索
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23K14965
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
石川 尊士 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児内科系専門診療部, 医師 (80821107)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 自己炎症性疾患 / インターフェロン / Ⅰ型インターフェロン異常症 / ヘテロ接合性変異 / 間質性肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新規遺伝子変異がⅠ型IFN異常症の病態を引き起こしているかを検討する。2023年度では、その新規遺伝子から産生されるタンパク(Xタンパクとする)の発現および機能解析を患者細胞を用いて行った。 ①末梢血単核球(PBMC)におけるXタンパクの発現解析 Xタンパクに対する抗体を用いてフローサイトメトリー法により、PBMCにおけるXタンパク発現を確認した。IFNαによる24時間刺激後のPBMCにおいて、Xタンパクが健常者と同様に発現していた。さらに、ウェスタンブロッティング法でも同様な結果が得られた。 ②Xタンパクの機能解析 PBMCをIFNαにより様々な時間で刺激後、患者ではIFNが過剰に産生されるか確認した。Ⅰ型IFNサイトカインをELISAで測定しようとしたが、感度未満であり測定できなかった。次に、mRNAレベルでⅠ型IFNサイトカイン産生に関わるIFN signature geneの発現を測定した。その結果、患者PBMCではIFNα刺激に対して、健常者よりも過剰にIFN signature geneが発現し、刺激後もそれが持続することがわかった。 これまでの結果から、新規遺伝子変異ではXタンパクの発現は認めるが、そのXタンパクの機能異常が推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フローサイトメトリー法では、細胞内に発現しているXタンパクの染色が困難であり、細胞内染色の条件検討に時間を要した。 ウェスタンブロッティング法では、PBMCにおけるXタンパク量が少なかったために、タンパク検出する条件検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、Xタンパクの機能解析として、Xタンパクの結合およびリン酸化の検討を行う。正常なXタンパクはSTAT2と結合し作用すると考えられているため、STAT2との結合性を免疫沈降法を用いて評価する。また、細胞にⅠ型IFN刺激のシグナルが入ると、正常なXタンパクはSTAT2と結合することでSTAT2のリン酸化を抑制し、Ⅰ型IFN産生にネガティブフィードバックをかける。そのため、患者PBMCでは、反対にSTAT2のリン酸化が過剰に起きているかウェスタンブロッティング法で解析する。 次に、X遺伝子変異の病原性を評価するために、正常遺伝子導入した患者細胞による解析を行う。患者の単球細胞にCRISPR-Cas9により正常遺伝子を導入し、Xタンパク機能が正常化するか確認する。 さらに、患者のX遺伝子の複合ヘテロ接合性変異がⅠ型IFN異常症の病因であるか確認するために、X遺伝子ノックアウト細胞株に変異遺伝子を導入し、患者細胞と同様な病態を呈するか確認する。 これらの解析により、新規遺伝子変異とXタンパク機能異常を関連付けることができると考えている。
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Causes of Carryover |
当初2023年度に予定していた機能解析まで進まなかったため、2024年度に持ち越すこととした。 2023年度に行う予定であったXタンパクの結合およびリン酸化を解析するために、STAT2、p-STAT2などの抗体を購入する予定である。
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