2023 Fiscal Year Research-status Report
シングルセルシーケンスを用いた小児急性肝不全の病態解析
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23K14974
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 高子 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60908721)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 急性肝不全 / 急性肝炎 / 小児 / シングルセルシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
小児急性肝不全の病態解明のため、小児急性肝炎および急性肝不全のウイルス定量PCR検査などを用いた起因ウイルス検索を行い、起因ウイルスが同定された症例の末梢血から分離された単核球を用い、シングルセルシーケンス解析を行った。 これまでに、研究の同意が得られた小児急性肝炎3例(EBウイルス2例、アデノウイルス1例)の末梢血単核球が収集され、内1例(EBウイルス)の急性期および回復期検体のシングルセルシーケンス解析を行った。対照として健常成人2例の末梢血単核球を用いたシングルセルシーケンスと比較検討した。解析を行ったのは計4サンプルで、1サンプルあたり、2,239ー3,403細胞の解析が可能であった。EBウイルス感染症に合併した急性肝炎症例の急性期検体では、TUBA1B+STMN1+CD8+T細胞クラスタの増大を認め、他の文献から、本クラスタは肝組織に由来する可能性が示唆された。また、本症例では、CD8陽性T細胞および単球でⅡ型インターフェロンシグナリングの活性化を認めた。 現時点では1例の急性肝炎症例の解析にとどまっており、他1例が現在外注でのシーケンス待ちである。他のウイルスに起因する急性肝炎や急性肝不全例での解析データとの比較検討が今後求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小児急性肝炎例の登録が3例あるものの目標数には達しておらず、小児急性肝不全例の登録が現時点でみられない。症例数が当初予定していた症例数には届いていないが、シングルセルシーケンスによる解析を行った全検体で一定数の末梢血単核球の解析が可能であることが確認された。今後の登録症例の解析につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
急性肝不全例の登録、解析のため、研究協力機関に本研究についてあらためて周知するとともに、収集された残る2検体の急性肝炎検体のシングルセルシーケンス解析を行い、病態の中心となっている免疫細胞および各細胞での遺伝子発現調節経路を検討する。得られた解析データをまとめ、学会発表および論文投稿をめざす。
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Causes of Carryover |
当該年度の症例登録数が少なく、解析可能検体数が限られたため、試薬費用への使用額が見積よりも少なくなった。次年度に解析予定の検体の集積が進んできており、今後追加での試薬購入に使用を予定している。
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