2023 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織(プロ)レニン受容体の炎症調節を介した成長ホルモン依存性動脈硬化機序の解明
Project/Area Number |
23K15169
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
関 康史 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20649488)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
GH欠乏状態での動脈硬化における脂肪組織(プロ)レニン受容体の役割を解明することを目的とし、まず、非機能性下垂体疾患患者171例を対象に、GH分泌能と炎症マーカーである血中高感度CRP値との関連を後ろ向きに検討した。高感度CRPは、GH分泌能を示すGHRP-2負荷後GH頂値(GHpeak)と有意な負の相関を示し(r = -0.50, P < 0.001)、重症GH分泌不全合併例で非合併例と比べ有意に高値だった(P < 0.001)。高感度CRPの重回帰分析では、他の下垂体前葉ホルモンを含む多変量で調整してもGHpeakは有意であり(β = -0.343, P = 0.001)、GH以外の前葉ホルモン欠乏患者60例を除外しても有意(β = -0.263, P = 0.009)だった。下垂体手術を行った者の手術1年後の高感度CRPとGH分泌能の変化量(Δ)を縦断的に検討すると、Δ高感度CRP (60例)は、ΔGHpeakと有意な負の相関を示した(r = -0.46, P < 0.001)。これらのことからGHの分泌低下が炎症の惹起に関連することが示唆された。 次に、成人GH分泌不全症に対するGH補充療法と炎症の関連を前向きに観察した。8例の患者(平均50歳、男性4例、BMI 31.9 kg/m2)において、6ヶ月のGH補充療法後に高感度CRPが有意に低下することが示された(P = 0.001)。一方、GH補充療法前後で体組成や脂質代謝マーカー、肝機能に有意な変化は見られなかった。高感度CRPとGH分泌能の変化量(Δ)の間には有意な負の相関が見られた(R = -0.78, P = 0.023)。GH補充療法が炎症に対して抑制的に作用することが示唆された。現在、血中(プロ)レニン受容体測定を含めさらなる解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GH分泌能と炎症の関連についてアメリカ内分泌学会誌で発表した。前向き研究については現在解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
前向き研究の解析を進め学会発表、論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
研究の一部が当初の想定よりも早く進んだことから支出が少なくなった。次年度使用額については、物価の高騰や円安の影響で実験消耗品や論文投稿料が値上がりすることが予想されるため、その差額に使用予定である。
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