2023 Fiscal Year Research-status Report
深層学習を用いた胸部レントゲン画像からの肺動脈楔入圧と左房容積係数の定量的な推定
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23K15171
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齋藤 佑記 日本大学, 医学部, 助教 (10838494)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人工知能 / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸部レントゲン画像を用いて左房容積係数を算出する regression CNNモデルを構築し、その有用性を検証することを目的とした研究を行っている。現在、2022年1月から8月までの期間に日本大学医学部附属板橋病院にて心血管疾患が疑われ心臓超音波検査と胸部レントゲン検査を施行された約500例の胸部レントゲンデータを収集した。1500例までのデータ収集を継続していく予定である。また、並行して、心不全レジストリ(SAKURA HF Registry-2, UMIN 000043852)の構築を行っている。同レジストリデータを使用し、現在心不全加療の中心となっている治療薬SGLT2阻害薬のreal worldでの予後改善効果を調査し、論文発表を行った。2018年から2022年までに心不全レジストリに登録された急性心不全症例を対象とし、心不全入院中のSGLT2阻害薬の予後との関連を検討した。入院中にSGLT2阻害薬が投与された群は、投与されなかった群に比し、退院後の死亡と心不全再入院のイベント発症率が有意に低かった(log-rank test, p<0.001)。また、左室駆出率に関わらず、SGLT-2阻害薬の投与と低イベントリスクは関連があった。これらの結果から、急性心不全患者において、SGLT-2阻害薬はLVEFに関わらず予後改善と関連することを示すことができた。これらの結果をESC Heart Failure. doi: 10.1002/ehf2.14597.2023(査読あり、Mizobuchi S, Saito Y, et al)として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、2022年1月から2023年1月までの期間に日本大学医学部附属板橋病院にて心血管疾患が疑われ心臓超音波検査と胸部レントゲン検査を施行された患者1500例を対象として胸部レントゲンデータを収集する予定である。現在、約500例のデータ収集を完了している。また、急性心不全レジストリデータも約1000症例分のデータを登録できている。しかし、当初予定していた深層学習モデルの構築とそれに関連する学会発表、論文発表は2023年には行えておらず、2024年度に行う方針とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年1月から2023年1月までの期間に日本大学医学部附属板橋病院にて心血管疾患が疑われ心臓超音波検査と胸部レントゲン検査を施行された患者1500例を対象とし、心臓超音波検査により測定した左房容積係数と検査施行の7日以内の胸部X線画像を収集する。その後に、Python (ver3.6.9)によりコーディングした畳み込みニューラルネットワークを使用し、心臓超音波検査での左房容積係数を教師データとして、胸部X線画像を学習させ、深層学習のモデルを構築する全1500例のデータのうち、80%を教師データ(training group)、20%をテストデータ(test group)としてランダムに分割する左房容積係数の実測値と推定左房容積係数の相関関係、一致率について検証を行う。また、急性心不全レジストリデータを用いてその予後予測性についても検証を行う方針である。2024年度には、データ収集の完了と深層学習の構築を行う方針である。
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Causes of Carryover |
2023年度の研究活動が主にデータ収集と心不全レジストリからの発表であり、深層学習のモデル構築やそれに関連する学会発表などに使用する予定であった予算を2024年度に使用する方針とした。
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