2023 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性大動脈疾患の最適な遺伝学的評価法と新規疾患バイオマーカーの開発
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23K15176
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
柳生 剛 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (80794867)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 遺伝性大動脈疾患 / マルファン症候群 / バイオマーカー / 大動脈解離 / 大動脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では遺伝性大動脈疾患症例を研究対象とし、これまで同定が困難であった遺伝学的異常の同定を進めることで、これまで見過ごされてきた病的機序の同定とそれらをカバーできるような診断アプローチを構築する。それとともに、得られた遺伝学的情報をもととした疾患バイオマ ーカー候補の選定を目標とする。評価された病的バリアントの遺伝情報に基づき、発現の変動が予想される代謝産物の血中濃度測定(ELISA法など)を行い、それが診断や臨床上の疾患重症度に有用な指標になりうるかを評価する。また既知遺伝子に由来するが現行解析では同定が困難な病的所見(コピー数多型やスプライス異常)の評価を行う。手法として、コピー数多型の評価をMLPA法または定量PCR法、スプライス異常の同定を血液もしくは手術標本によるRNA解析により行う。スプライス異常が検出された場合、当該イントロン領域のシークエンスを行い、原因となる病的バリアントの確認を行う。さらに病的所見が認められなかった場合、関連未知の疾患原因遺伝子の関与の可能性を考える。発端者およびその血縁者2名を対象としたトリオ解析でエクソーム解析および全ゲノム解析を行う。初年度(令和5年度)においてはこれまでの症例の遺伝情報、臨床情報を含むデータベース化を行なった。データベースの検討から複数の臨床所見が病的遺伝子保有と有意に関連することを確認した。今後は有意な臨床所見を有するも遺伝子変異が同定されない症例を重点的に精査し、新たな原因遺伝子、もしくは病的バリアントの探索を行なっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床情報のデータベース化を整えることで臨床情報を伴った精査対象を抽出することができた。引き続き新規症例の組みえれを進めるとともに、RNA解析(新規変異の同定)と関連タンパク質解析(新規バイオマーカーの探索)を行なっていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き新規症例の組みえれを進めるとともに、RNA解析(新規変異の同定)と関連タンパク質解析(新規バイオマーカーの探索)を行なっていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度においては研究対象となる症例、検体の集積とデータベース化を主に行なった。次年度以降において必要な試薬や業務委託費に充て研究解析を予定している。
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Research Products
(2 results)