2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of COPD exacerbation mechanism by periodontal disease focusing on dynamics of respiratory microbiome
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23K15185
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
保苅 崇大 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30827621)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 歯周炎 / COPD / 肺癌 / 口腔内細菌叢 / ディスバイオーシス / 周術期口腔機能管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)は、気管支および肺胞に慢性的な炎症を引き起こし、呼吸機能の低下をもたらす呼吸器疾患である。このCOPDは、気管支喘息や肺癌、肺線維症および間質性肺炎などの他の肺疾患を合併することが知られており、特に肺癌を合併する頻度は、過去の報告によれば約9~20%とされている。これらの呼吸器疾患の発症因子として、歯周病の有無が影響を与える可能性が示唆されているが、呼吸器疾患の病態と口腔内細菌叢の特徴との関連について、その詳細なメカニズムは明らかにされていない。また、COPDおよび肺癌の治療として外科的根治手術が行われる場合、術後に生じる誤嚥性肺炎は手術関連死亡の主な原因の一つであり、これを予防するための周術期口腔機能管理が重要である。口腔環境を整えることにより、感染性合併症のリスクを低減し、在院日数の短縮に寄与することが報告されている。当院では、呼吸器疾患の周術期において歯科的介入を行っており、その効果の検討が必要とされている。 本研究では、COPDまたは肺癌を有する歯科外来患者または周術期患者を対象に縦断的観察研究を実施する。口腔内の細菌性因子が呼吸器疾患の病態形成にどのように関与するかを明らかにするため、歯周病および口腔内細菌叢について呼吸器疾患の病態と比較解析を行い、メカニズムの解明を目指す。さらに、周術期口腔機能管理および歯周治療が口腔内環境や合併症、術後経過に与える影響を評価する。 本年度は研究プロトコールの確定および倫理委員会への申請を完了し、被験者の選定およびサンプリングを開始している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況は概ね順調である。当初はCOPDを有する被験者群および健常者群の2群でプロトコールを設定していたが、COPDを有する患者数が当初予定数よりも少ないことが予備実験の段階で判明したため、群を修正変更し、「COPDもしくは肺癌を有する歯科外来患者または周術期患者」とした。今後も科学的根拠に基づき慎重にレジメンを作成する必要があり、その点を遵守していく。被験者の選定・サンプリングは現状問題なく順調に進んでおり、今後も継続していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も被験者の選定・サンプリングを適切に進めていき、予定被験者数まで達した段階で、サンプルの解析に移行する。被験者組み入れ、サンプル、データ収集の効率化と体制を整え、現在の計画に沿って研究を継続する。万が一、予定被験者数に到達しない場合は、最終的に研究に参加していただいた被験者を対象に、上記解析を行う予定である。データに影響する要因でもあるため、今後も遵守していく。次年度にサンプル全体の解析および研究資料収集のための関連学会への参加を計画しており、解析費用・旅費を多めに計上する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度は、本研究で採取したサンプル全体の解析および研究資料収集のための関連学会への参加を計画しており、前年度に比べて解析費用および学会参加費がかかることが見込まれるため、次年度使用額が生じる事となった。 採取した各サンプル(歯肉縁下プラーク・唾液)の解析に関しては、それぞれ受託解析としての使途を予定している。
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