2023 Fiscal Year Research-status Report
The role of cellular senescence of vascular endothelial cells in idiopathic pulmonary fibrosis and complicated pulmonary hypertension.
Project/Area Number |
23K15189
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坪内 和哉 九州大学, 大学病院, 助教 (60961927)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 肺線維症 / 肺高血圧症 / 細胞老化 / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺線維症において、細胞老化した上皮細胞や線維芽細胞は肺線維化の発症および進 展に関与しているが、細胞老化した血管内皮細胞の存在や役割については不明である。我々は特発性肺線維症の肺組織内に細胞老化した血管内皮細胞を見出した。そこで極めて予後の悪い特発性肺線維症および合併肺高血圧症病態における血管内皮細胞の細胞老化誘導のメカニズムや、細胞老化した血管内皮細胞による肺高血圧症の発症および肺線維化の進展への影響を明らかにすることを目的に研究を行った。 初代ヒト血管内皮細胞を用いて、肺線維症病態において重要なサイトカインであるTransforming Growth Factor-β:TGF-βが血管内皮細胞に細胞老化を誘導するかを検討した。血管内皮細胞において、TGF-βは濃度依存性にp16とp21の発現亢進、SA-β-gal染色陽性細胞増加、Histon H2AX発現亢進といった細胞老化マーカーを発現させた。また血管内皮細胞の上清中の分泌因子を測定したところ、特にsenescence-associated secretory phenotype (SASP)の代表的なものであるIL-6の増加を認めた。以上の所見よりTGF-βによる血管内皮細胞の細胞老化誘導に成功した。 肺高血圧の病態形成には血管平滑筋の増生、周囲の細胞外マトリックスの堆積がじゅうようであるため、今後は共培養実験系を用いて、老化した血管内皮細胞の周囲を構成する血管平滑筋細胞・線維芽細胞への影響を検討して、肺高血圧病態形成のメカニズムを探索していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血管内皮細胞に対して、重要なサイトカインであるTGF-βで細胞老化を誘導し、多面的に評価することができたが、血管平滑筋細胞や線維芽細胞との共培養系の確立が十分には出来ていない。また細胞老化を阻害する治療法の探索も十分に実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
老化した血管内皮細胞と血管平滑筋細胞・線維芽細胞との共培養を行う。 血管内皮細胞における細胞老化を誘導するメカニズムやTGF-β刺激による影響ををbulk RNA seqを行い探索する。 ブレオマイシン反復投与による肺高血圧合併肺線維症マウスモデルの樹立を行い、in vivoでin vitroの検討結果を確認する。
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Causes of Carryover |
我々は初代培養された血管内皮細胞を用いた研究を行っている。適切な研究に用いるためにの細胞増殖に時間を要し、また実験条件検討に時間を要したため、研究計画に軽度遅れが生じ、必要な研究試薬の購入時期がずれ込んだ。次年度に研究計画がずれこんだため、翌年度分に合わせて当該助成金を使用する予定である。 次年度は初代血管内皮細胞で得られた知見を基に、血管平滑筋細胞や線維芽細胞との共培養実験および細胞老化した血管内皮細胞も網羅的解析のためのRNAシークエンスへ使用する予定である。
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