2023 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛代謝及び抗酸化転写因子Nrf2を介した肺線維症への新規治療の開拓
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23K15201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 慶 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50865772)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | IPF / Nrf2 / 亜鉛 / Keap1 |
Outline of Annual Research Achievements |
間質性肺炎は、肺の間質を炎症や線維化病変の場とする疾患である。発症する原因が特定できない特発性間質性肺炎が存在し、中でも特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPF)は著明な拘束性障害をきたし平均余命が3~5年の予後不良の疾患である。IPFの病因や病態など詳細な機序は未だ不明である。IPFには加齢が影響している可能性が提唱されていたが、近年の研究で肺の中のⅡ型肺胞上皮細胞における前駆細胞としての機能がIPFの病態に関わること、亜鉛代謝がその前駆細胞の機能に関与することが明らかになった。さらに、IPF患者ではⅡ型肺胞上皮細胞の転写因子Nrf2の発現が低下していた。このことから、Ⅱ型肺胞上皮細胞におけるNrf2はIPFの病態に関与すること、また亜鉛代謝にも影響を与える可能性があることが考えられるがそれを明らかにした報告はない。本研究ではIPFの病態におけるⅡ型肺胞上皮細胞とNrf2の関係を明らかにし、その機構に亜鉛代謝が介在していると仮定し研究を行う。本研究によってⅡ型肺胞上皮細胞とNrf2-亜鉛代謝の関連が明らかになれば、IPFの新規治療戦略の一つになりうる。 現在のところブレオマイシン誘導性肺障害モデルを用いて実験を実行中である。骨髄球系細胞、つまりマクロファージを特異的にNrf2をノックアウトしたマウスでは肺の炎症性細胞浸潤がコントロールマウスと比較して増悪していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マウス舎の建て替え、及びその整理でマウスの数が減ってしまったことなどで実験が思うように進行していない。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄球系細胞特異的Nrf2ノックアウトマウスではブレオマイシン経気管投与による肺の炎症性細胞浸潤が悪化していた。今度はKeap1をノックアウトしNrf2を活性化したマウスで炎症の軽減が認められるかを確認し、そのメカニズムに亜鉛が関与しているかを確認する。
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Causes of Carryover |
次年度に行う実験に向けてマウスの飼育費や試薬の準備、データがそろった場合の解析用機器の購入などの費用が計上される予定である。
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