2023 Fiscal Year Research-status Report
The development of senomorphic for chronic kidney disease
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23K15243
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
荒谷 紗絵 日本医科大学, 医学部, 講師 (60844131)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 老化細胞 / SASP / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで生体内における老化細胞を細胞レベルで機能解析することは困難とされ、老化細胞の特徴である老化細胞関連サイトカイン発現現象(SASP) の in vivo における機能はほとんど明らかにされていない。そこで私たちは、老化細胞マーカーである p16 Ink4a を高発現する細胞特異的に組み換え酵素 Cre を発現するマウスを用いて(p16 Ink4a-Creマウス)、老化細胞を一細胞レベルで同定できるマウスを構築してきた。 まず、加齢性疾患と自然加齢において、老化細胞がどのようにそれぞれの病態の発現に寄与するのかを解析した。加齢性疾患として、慢性腎臓病(CKD)モデルを作成して、用いた。p16 Ink4a-CreマウスによるCKDモデルマウスと自然老化マウス、それぞれから、老化細胞をフローサイトメトリーを用いて回収し、シングルセルRNAシークエンスを用いて評価した。これにより、SASPの発現を含め、疾患や加齢における様々な病態における老化細胞の挙動を詳細に解析した。 上記の進捗を、アメリカ腎臓学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異動後も継続して実験を行うことができ、計画している実験はほぼ予定通りに進められたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の実験として、Cre 依存的に SASP の制御因子であるNF-κB の阻害タンパク質を発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いて、老化細胞特異的にSASP を in vivo で抑制可能なシステムの作成を試みている。そのシステムにより、CKDモデルにおいて、老化細胞特異的SASP抑制AAVを投与し、SASP抑制によりCKDの病態を抑制することができるかを検証している。 まず、AAVの腎臓への効果的な投与方法を考案している。私たちは、腎臓において老化細胞の主な蓄積部位である腎臓近位尿細管に AAV を効率的に投与する手術法を考案している。すでに予備実験において、健康マウスの腎臓にAAV ベクターを投与して、効率的に近位尿細管細胞を感染させることができることが示唆されている。引き続き、このシステムを用いてCKDマウスにもAAVを感染させ、CKDマウスの近位尿細管において、老化細胞特異的にSASPを抑制し、病態の改善につなげられるかを確認していく。
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Causes of Carryover |
2023年度10月から、所属が異動となったが、実験に用いる消耗品や、データ解析のためのコンピュータなどは、以前の研究室のものを引き継いで使用することが可能となり、実験に必要な追加費用が必要とならなかったため。 予算は、次年度に持ち越して研究を積極的に継続する予定である。
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Research Products
(1 results)