2023 Fiscal Year Research-status Report
成人T細胞性白血病リンパ腫におけるCDK6発現の統合的解析
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23K15314
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石尾 崇 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (00971178)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 成人T細胞性白血病/リンパ腫 / CRISPR/Cas9 / CDK6 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 成人T細胞性白血病リンパ腫におけるCDK6の恒常的高発現が維持される分子メカニズムの解明とその制御方法の開発 Cas9を導入した成人T細胞性白血病リンパ腫患者由来細胞株に対して、CRISPRノックインによるCDK6-GFP fusionを作成することが困難であったため、同細胞株にメタノール固定を行い細胞質内のCDK6蛋白を染色し、フローサイトメトリーで細胞質内のCDK6蛋白発現を確認した。さらに、メタノール固定した同細胞株に対してCRISPRでCDK6ノックアウトを行い、細胞質内のCDK6蛋白を染色し、フローサイトメトリーでCDK6ノックアウトを確認した。これにより19,114遺伝子を標的とするCRISPRゲノムワイド遺伝子ノックアウトによるCDK6蛋白発現スクリーニングを施行する本研究の基盤が整った。
2. 成人T細胞性白血病リンパ腫におけるCDK6の細胞周期以外の機能の解明 複数の成人T細胞性白血病リンパ腫細胞株にCDK4/6阻害薬(パルボシクリブ)を投与し、mitotrackerとBD FACSCANTO IIを用いてミトコンドリア量が増加することを、細胞外フラックスアナライザーを用いてミトコンドリアによるoxidative phosphorylationが上昇することを確認した。なお、パルボシクリブを投与した同細胞株に対する内因性レトロウイルス遺伝子のmRNA量、細胞内二本鎖RNA量、リン酸化された解糖系の酵素(PFKPとPKM2など)の発現量、ペントースリン酸経路やセリン経路から活性酸素の上昇に関与する分子(NADPHやGSHなど)の測定は現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究2項目ともに一定の進展がみられたが、CDK6-GFP fusionを作成することが困難であったため、当初の計画を変更している。Cas9を導入した成人T細胞性白血病リンパ腫患者由来細胞株に対してメタノール固定を行い、細胞質内のCDK6蛋白発現をフローサイトメトリーで確認でき、本研究の基盤を確立した点が評価できる。また、同細胞株に対してCRISPRによるCDK6ノックアウトを行い、ノックアウトが正しく機能していることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞質内のCDK6蛋白発現が測定可能となった事から、今後はさらにCRISPRスクリーニングの実行・解析を進める予定である。また、CDK6の細胞周期以外の機能の解明も同時並行で進め、スクリーニング結果との統合的解析を行う予定である。
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