2023 Fiscal Year Research-status Report
T-bet陽性B細胞と病的T細胞の相互ネットワーク解明によるSLE新規治療戦略の構築
Project/Area Number |
23K15359
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
轟 泰幸 産業医科大学, 医学部, 助教 (40746814)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | T-bet+CD11c+ B細胞 / B-T細胞 連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】SLEにおけるT-bet陽性CD11c+B 細胞(ABCs)の臨床的意義を検討した。 【方法】新規診断かつ無治療SlE患者94例を対象として、フローサイトメトリーを用いて末梢血中のABCsを検出し臨床症候との相関を検討した。また、in vitroでABCsの分化誘導について検討した。 【結果】平均年齢は42.8歳、84.0%が女性、SLEDAI(中央値)は14.9であった。年齢マッチした健常人におけるABCsの割合 (1.3%)と比較するとSLEではABCsの大幅な増加がみられた(10.6%)。更にABCsの割合は疾患活動性指標:SLEDAIと相関し(p<0.001)、特に活動性ループス腎炎合併例でABCsが増加、NIH activity scoreと正相関した。そこでSLE患者の血清サイトカインを電気化学発光法にて測定した所、SLEではIL-4およびIL-9以外のすべてのサイトカインが健常人よりも増加していた。ABCsの割合と比較するとIFN-α,IFN-γおよびIL-6のみがABCsの割合と正相関していた。一方で、SLE末梢血のT細胞サブセットと比較とすると、Th17やTreg、Tfh 細胞との関連はなかったが、活性化Th1細胞およびCXCR5-ICOS+PD1+Tph細胞の割合と正相関した。In vitroの検討ではIgD+CD27-naive B 細胞にBCR+CD40L+IL-21+TLR9刺激に様々なサイトカインを加えて検討したところ、IFN-γで最も効率的にABCsが誘導されその培養上清では高度のIL-6産生がみられた。 【結論】SLEにおいてABCsはループス腎炎を中心とした臓器障害に寄与している可能性があり、SLE生体内においてその分化や機能に関連するT細胞やサイトカイン とのネットワークを形成し、活動性腎炎の発症に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者サンプルの解析は順調に進行している。 一方、in vitroの共培養の実験系確立を苦労している。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの検討において、SLE患者・生体内でのABCsと関連の強い特定のT細胞サブセットおよびサイトカインが抽出された。 今後、ABCsがT細胞分化にいかに影響を与えるかについて、同定された因子に着目しつつ、In vitroの実験系で証明を行う。 上記の検討により、ABCsを中心とした患者の層別化、さらには効率的な治療戦略の構築を目指していく。
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