2023 Fiscal Year Research-status Report
国内に分布する病原性エルシニアのゲノム解析による遺伝的特性と潜在的病原性の解明
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23K15366
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安岡 和昭 九州大学, 大学病院, 助教 (90770644)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Yersinia / ゲノム / 系統解析 / 比較ゲノム解析 / 病原因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 国内分離株の収集とゲノム情報の取得:本研究では、日本国内から分離されたY. pseudotuberculosis(以下、YPT)株50株(KD株11株、非KD株39株)のゲノム情報を取得した。また、公共データベースから追加で136株のゲノム情報を収集し、これらのデータを用いて系統解析を行った。解析の結果、日本の株はアジア系統に属しており、地域による系統関係が確認された。2. 追加菌株の収集とゲノムシーケンス:さらなるデータセット拡充のため、KD株4株を含む追加のYPT株を全国の医療機関から収集しています。収集した株については、培養後のゲノムDNAを抽出し、Illumina MiSeqを用いてゲノムシーケンスを実施している。3. 公共データベースからのゲノム情報の追加取得:公共データベースから、YPTの323株のゲノムデータが登録されており、この中から地理的情報が得られる高品質な169株を選定した。4. ゲノムアセンブリと解析:収集したゲノムデータは、Platanus_B assemblerを用いてアセンブルし、CheckMで品質検証を行った。さらに、MEGAXを使用して最終的な菌株セットを確定し、Roaryを用いてコア遺伝子の同定とSNP解析を施行した。5. 系統解析の実施:同定されたSNPを用いて系統樹を作成し、解析した菌株の系統関係を明らかにしている。特に、KD株はアジア系統の中でどのような進化学的位置を占めているかを詳細に分析した。6. KD株と非KD株の比較解析:Roaryを用いて特定の菌株にのみ存在するアクセサリ遺伝子を同定し、これらの遺伝子のKD株と非KD株間での保有率を比較している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
系統解析や菌株の収集など概ね予定通り遂行できている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
データセットの確定、菌株のゲノムデータの登録、考察の作成、 結果の解釈、論文作成、追加研究など進めていく。
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Causes of Carryover |
ゲノム解析に関して追加のゲノムシーケンスや解析ソフト、結果作成ツール 論文推敲のための費用が必要であるため。次年度に引き続き解析、論文化を進めていく予定である。
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