2023 Fiscal Year Research-status Report
病原体を考慮した敗血症性脳症のマウスモデルの確立と病態解明
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23K15374
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
今北 菜津子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50865566)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 敗血症性脳症 / ウイルス性脳症 / 細菌性敗血症性脳症 / LPS / Poly(I:C) |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症性脳症はしばしば診断に難渋し、致死的経過をとる。早期診断および特異的な治療を行うためには敗血症性脳症の詳細な病態・分子メカニズムの解明が求められ、そのためには細菌性およびウイルス性、双方の敗血症性脳症動物モデルの確立が必須である。 本研究では、細菌あるいはウイルス由来を想起させ確実性のある敗血症性脳症のマウスモデルを確立し、発症に関わる分子メカニズムを明らかにすることで、敗血症性脳症研究の発展を目指したプラットフォームを構築し、脳症の鑑別および発症における早期診断マーカー、特異的治療法へと臨床応用に発展させるための基盤を確立することを目的とした。 敗血症性脳症モデルマウスについてはTLR4のアゴニストである細菌由来LPSの腹腔内投与や糞便懸濁液の腹腔内投与を用いた報告がある。申請者はこれまでに静脈内投与した青色色素Evans blueの脳への漏出を定量化することで、脳浮腫の有無を判定する系を確立しており、LPS腹腔内投与によるモデルを検討したが、Evans blueの漏出は不十分であった。そこでLPSの投与量、タイムコースおよび投与経路の検討を行い、LPS経静脈投与によって再現性高く脳でのEvans blue漏出を確認できることが明らかとなった。また、ウイルスの核酸アナログで特異的にRLR経路を活性化するPoly(I:C)の経静脈投与によっても脳でのEvans blue漏出を確認できた。以上の結果より、再現性良く細菌性ならびにウイルス性の敗血症性脳症マウスモデルを確立できたと考えられ、それぞれのモデルの脳からRNAを抽出し、RNAシークエンスによる網羅的遺伝子発現解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細菌由来成分あるいはウイルスの核酸アナログを使用することで、再現性高く脳でのEvans blue漏出を確認できる細菌性およびウイルス性の脳症モデルを確立できたものの、モデル確立に想定より時間を要してしまい、遺伝子発現の詳細解析が行えていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
コントロール群、ウイルス性脳症モデル群、細菌性脳症モデル群におけるRNAシークエンス結果の詳細な解析を行う。異なる発現様式を示す遺伝子を同定し、その解析を進める。その上で、同定された標的遺伝子の制御機構につき検索を行うことで、それぞれの脳症モデルの発症機序や早期診断につながる因子の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
敗血症性脳症モデルの確立に時間を要し、遺伝子解析にて標的遺伝子がまだ特定できていないことから標的遺伝子の解析目的の試薬など、使用を想定していた試薬の購入に至るまでの実験の進行に至らなかった。
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