2023 Fiscal Year Research-status Report
ステロイドによる副腎皮質萎縮から回復までの副腎皮質リモデリング分子機構の解明
Project/Area Number |
23K15393
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河村 菜実子 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (30827267)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 副腎機能不全 / 副腎皮質リモデリング / ステロイド / アポトーシス / ミトコンドリア / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウスの皮下に浸透圧ポンプを埋め込みデキサメタゾン(8 μg/day)を3日間持続投与(DEX群)すると、血漿ACTH濃度が低下し、副腎皮質束状層の菲薄化とともに同部位に一致したアポトーシスおよびマクロファージ浸潤が認められた。また、デキサメタゾンとACTH (0.5 μg/day)を同時投与(DEX+ACTH群)すると、束状層の菲薄化およびアポトーシスはいずれもほぼ完全に消失した。また、RNA-seq解析により、DEX+ACTH群は遺伝子レベルでも生食群に近い状態であることが確認された。さらに、DEX群で発現低下し、DEX+ACTH群で回復する遺伝子群でGene Ontology解析を施行したところ、ミトコンドリアに関連するパスウェイが抽出された。そこで、電子顕微鏡解析を行い、ミトコンドリアの形態的な変化を観察したところ、生食群と比較して、DEX群の束状層細胞ではミトコンドリア数の減少およびミトコンドリアの小型化が認められた。このミトコンドリア形態の変化は束状層細胞に限定的であり、球状層細胞では確認されなかった。さらに、Seahorse XFを用いたミトコンドリア酸素消費量の測定では、 DEX群で呼吸能の低下が認められた。また、ROS染色試薬を用いてミトコンドリアROSを測定したところ、DEX群では生食群と比較してミトコンドリアROSの蓄積が認められた。さらに、RNA-seq解析によって、DEX群ではグルタチオン合成の遺伝子群の発現が低下していることが明らかとなった。これらの結果から、糖質コルチコイド投与による副腎萎縮には、ACTH分泌の抑制による副腎皮質細胞のグルタチオン産生低下がミトコンドリアROSの蓄積を引き起こし、ミトコンドリア機能障害が生じることで副腎皮質細胞にアポトーシスをきたす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたよりも実験方法確立のための予備実験期間が短縮できたため、デキサメタゾン投与による副腎皮質萎縮期の解析を進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
デキサメタゾン投与によって副腎皮質束状層へのマクロファージ浸潤が認められたため、令和6年度は副腎皮質細胞とマクロファージのinteractionに着目する。マクロファージの枯渇試薬などをデキサメタゾンと同時投与することで、デキサメタゾン投与によるマクロファージ浸潤を抑制し、マクロファージ浸潤がデキサメタゾン投与による副腎皮質萎縮に影響があるかどうかを検討する。また、副腎被膜幹細胞のランドマークに用いられるGli1に特異的に蛍光標識したマウス(Gli1-CreERT2 マウス)の副腎被膜幹細胞の分化経路がデキサメタゾン投与によって変化するかを経時的に観察する。さらに、シングルセルトランスクリプトーム解析を行い、個々の細胞レベルで網羅的に遺伝子発現解析をすることで、細胞集団を同定し、細胞集団ごとに特徴的な遺伝子発現分布を解析する。また、デキサメタゾン投与中止後の回復期における細胞集団特異的な遺伝子変化を明らかにし、副腎皮質回復に関連する重要な遺伝子を探索する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりも少額の研究費で実験を行うことが可能であった。また学会参加費ならびに旅費の支出を見送ることとなった。シングルセル解析の解析費用や学会参加費および旅費に使用予定である。
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