2023 Fiscal Year Research-status Report
miR-222のβ細胞増殖制御機序の解析と糖尿病病態マーカーとしての意義
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23K15414
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小野 薫 熊本大学, 病院, 特任助教 (80836403)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病の主因はインスリン抵抗性とインスリン分泌機能低下であり、1型、2型糖尿病とも程度の違いはあるが、膵β細胞の減少によるインスリン分泌低下を伴っている。申請者らは、肝臓におけるインスリン作用伝達及びインスリン抵抗性を制御するmicroRNAとしてmiR-222を同定したが、膵臓におけるmiR-222の役割は不明である。膵臓におけるmiR-222とインスリンシグナル経路との関係を解明し、インスリン分泌能低下の発生機序を明らかにするため実験を行っている。 本年度はmiR-222の機能解析 (miR-222 過剰発現/抑制) をin vitroの系で行っている。マウス膵β細胞由来細胞株MIN6細胞を用い、人工的なmiRNAまたは人工的なmiRNA阻害分子を MIN6細胞に導入し、高グルコース刺激によるインスリン分泌量の評価、インスリン刺激によるインスリンシグナル経路の重要分子、その活性化の変化をウエスタンブロット法および q-PCR 法にて評価した。miR-222mimicのMIN6細胞への導入を行い、miR-222の過剰発現をPCR法にて確認した。高グルコース刺激によるインスリン分泌量に関してはコントロールと有意差はないが、インスリン刺激によるインスリンシグナル経路の分子の評価に関してはウエスタンブロット法にてシグナルを負に制御する傾向を認めており、膵β細胞の減少や、サイズ異常に関連する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
microRNAの機能解析実験において、予備実験ともいえる「膵β細胞におけるmicroRNAの過剰/抑制」についてmiR-222の抑制系の実験が進んでおらず、全体的な遅れにつながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
microRNAの機能解析結果をもとに、マウス由来前駆脂肪細胞である3T3-L1細胞を分化誘導し、パルミチン酸負荷後、培養液から抽出したエクソソーム内のmiR-222発現の評価する。また前述の培養上清をMIN6細胞の培養液中に添加し、機能評価を行う。これにより脂肪細胞から分泌される miR-222 が膵β細胞のインスリン分泌能を制御するのかを評価する。また肥満、糖尿病患者における miR-222 の役割を検討、バイオマーカーとしての有用性を確認する。
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Causes of Carryover |
来年度は実験の進捗状況にもよるが、血清中のmicroRNAの測定や、やや高額なキット等の購入が予想されることから次年度使用分が発生した。また発表に関する旅費にも使用予定である。
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