2023 Fiscal Year Research-status Report
The role of intestinal microbiota in intestinal adaptation in patients with pediatric short bowel syndrome.
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23K15426
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川口 雄之亮 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20896625)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 短腸症候群 / 腸内細菌叢 / 腸管不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
短腸症候群ないし腸管不全症に対しての糞便解析を行なっている。短腸症候群に伴う乳酸アシドーシス患者に対する糞便移植治療の糞便解析を行なった。D型乳酸アシドーシスは短腸症候群患者において、未消化の炭水化物が大量に大腸に流入することで、大腸内で発酵が起こり大腸内のpHが低下する。これにより酸抵抗性である乳酸菌が増加することで発生するD型乳酸により、非特異的な中枢神経障害を起こす病態である。治療として補液やアシドーシスの補正などの対症療法の他、プロバイオティクスや抗菌薬の投与などが行われるが、治療抵抗性なことが多い。今回、D型乳酸アシドーシスを繰り返す患者に対し糞便移植を行い腸内細菌叢解析を行なった。糞便移植前はLactobacillus属が腸内細菌の約7割を占めており、これがD型乳酸アシドーシスの原因と考えられた。移植前の腸管洗浄液投与によってClostridium属が腸内細菌のほとんどを占めることとなった。糞便移植開始によってBifidobacterium属が上昇しLactobacillus属の割合が減少したが、移植後1週の再増悪時にはLactobacillus属が再び約7割を占めており、症状の経過と合致した。この結果によって短腸症候群への糞便移植は一時的には明らかな細菌叢の変化がみられたが、腸内細菌の定着が悪いことがわかった。 このことより短腸症候群のD型乳酸アシドーシスの原因となる菌の候補を同定した。また短腸症候群では腸管への菌定着が難しいことがわかった。 また新規短腸症候群、腸管不全症患者のリクルートに成功し、現在糞便解析を実施中である。 腸管不全症における必須微量元素吸収のための腸内細菌叢解析も行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規短腸症候群患者の発生が当初より少なかったため、解析すべきサンプルが少なくなってしまった。 新規症例がリクルートすることができたため、今後は解析が進んでいくことが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
今回は短腸症候群では対象数が少ないため、短腸症候群のみならず腸管不全患者に対しての糞便研究として、対象患者数を増やして腸管順応における糞便解析を継続としていく。 また腸管不全症における腸管順応という水分吸収のみならず必須微量元素吸収のための腸内細菌叢解析も行なっていくことで短腸症候群の栄養吸収における腸内細菌の役割を研究していく。 補助栄養剤や栄養剤変更の効果などに関しての研究も追加していく。
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Causes of Carryover |
本年度の終わりに短腸症候群の新規発生があったため、本年度の解析にはいたらず本年度の物品費を使用することがなかった。そのため次年度への持ち越しとなった。次年度には糞便解析を行う予定であり、その解析には研究費を多く使用する予定である。
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Research Products
(1 results)