2023 Fiscal Year Research-status Report
臓器由来マトリックスの力学特性がもたらす腎線維化・炎症制御の解明
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23K15457
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西 晃太郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (20911209)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 線維性瘢痕 / 細胞外マトリックス / ハイドロゲル / 腎線維化 / 創傷治癒 / バイオマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで液体などを腎臓被膜下などに注入する方法は存在したが、ハイドロゲルのようなバイオマテリアルを大量に貯留させて評価することが困難であった。研究代表者は、ラットの腎臓からモールドを設計し、カバーを作成することで腎臓周囲へのハイドロゲル適用を可能とした。これにより、臓器表面や創面に対する界面の解析をin vivoスケールで評価した。生体由来細胞外マトリックスを用いて生成されたハイドロゲルの特性解析を確立し、ハンドリング可能な濃度依存的力学変化の知見を得られた。マトリックスハイドロゲルの適用を目的としたカバー作成は、プロトタイプのカバーでの評価により十分な解析が可能であったため、継続して採用とした。カバーにより、硬さを変更したハイドロゲル又は液体を貯留させることが可能となった。当初、予定していた腎線維化+腎部分切除ラットモデル作成については、水腎化に伴う腎肥大が想定よりも著しくカバーの適用が難航した。そのため、虚血再灌流モデルまたは、腎部分切除モデルを作成した。モデルは線維化を誘発しており、カバーの適用についても明らかな問題は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル作成法を一部変更したが、カバーの適用やハイドロゲルの作成・評価については確立している。また、一定期間、生体内でハイドロゲルが腎臓周囲に残存していること、細胞浸潤が起こっていることが確認している。初年度に計画していた内容は、概ね達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、ハイドロゲルの硬さ制御における細胞変遷と組織変化を解析する。カバーにより腎組織表面への多様なハイドロゲルの適用が可能となったことから、力学特性にも影響しうる化学成分にも焦点を当てた解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
プロトタイプのカバーが想定よりも性能が高く、継続的な使用が可能と判断したため、当初の予定であった金属モールドの作成が保留となった。一方で、力学的特性を生み出す化学的組成にも注目し、解析を行うため、そちらの解析に使用する予定である。
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