2023 Fiscal Year Research-status Report
New strategy of SARS-CoV-2 mRNA vaccination for immunocompromised kidney transplant recipients
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23K15460
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
富田 祐介 東海大学, 医学部, 准教授 (50622263)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 腎移植 / SARS-CoV-2 ワクチン / 抗体価 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常者は腎移植ドナーおよびボランティアより、透析患者および免疫抑制患者は腎移植前後の患者より全血で8mLずつ採取し、血清および末梢血単核球に分離後、それぞれ-80度のフリーザー下および液体窒素下で保存し、使用した。経時的に採取した血清を用いてSARS-CoV-2抗体の陽性率、抗体価、その持続性を調べた。健常者(HC群)、 透析患者(HD群)、腎移植後の患者(KTx群)において、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(S-RBD)に対するIgG抗体(S-RBD IgG抗体)を測定し、有効性を評価した。 1) HC群と移植後に初めてワクチンを接種したKTx群を比較した。 ワクチンを2回接種後の抗体獲得率は、HC群が100%であったのに対し、KTx群では20%と有意に低値であり、移植後に新規に抗体を獲得することは困難であることを示した。HD群においては、HC群と同様に100%の抗体獲得率であった。一方で、3回以上の接種を行うと、KT群では抗体獲得率は75%へ上昇したものの、依然として25%の患者では抗体形成に至らないままであった。 2) 移植前に複数回のワクチン接種を行った後に腎移植を受けたKTx群のS-RBD IgG抗体の推移を調べた。 HD群の結果から移植前に複数回のワクチン接種を行うことで移植の待機患者は抗体を獲得できることが予想され、全患者で腎移植前に抗体を獲得することができた。移植後の抗体価は緩やかに低下したものの、移植3ヶ月後まではS-RBD IgG抗体を保持できることが確認できた。移植後3か月を目処にワクチンのブースター接種を行うことで有効な抗体価を持続することが可能であると考えられた。以上の結果を国内学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体は当初の予定通りの数を収集でき、保存状態は良好と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は末梢血単核球の解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
血清中の抗体価測定を先行させたため、末梢血単核球の実験はまだ行っていない。これに必要となる高価な抗体を購入していないため、繰越金が生じたと考える。次年度は7割を物品費(試薬や抗体、リンパ球の採血管、ピペットなどの消耗性実験器具)、3割を施設利用費(フローサイトメトリーの解析利用費など)、旅費、論文投稿費として使用する予定である。
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