2023 Fiscal Year Research-status Report
抗原提示性癌関連線維芽細胞の起源に着目した大腸癌腫瘍免疫制御機構の解明
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23K15480
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
笠島 裕明 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (10899678)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 線維芽細胞 / 大腸癌 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、”ヒト大腸癌CAF、腹膜播種由来中皮細胞や大腸癌オルガノイドを用いた浸潤 転移大腸癌同所移植モデルでの検討から、中皮細胞由来apCAFによる腫瘍免疫応答調節を介し た癌免疫療法治療抵抗性メカニズムの解明及び大腸癌新規治療法の開発に寄与すること”であり、まず(4)-2. 大腸癌腹膜播種由来中皮細胞を用いたapCAF起源細胞の解析とバイオマーカーの探索を行った。申請者らが樹立した大腸癌CAFと大腸癌腹膜播種由来中皮細胞を用いてCAFマーカー(ACTA2) とapCAFマーカー(HLA-DRAなど)の発現をqRT-PCRを用いて比較した結果、腹膜播種由来中皮細胞で正常中皮細胞、CAFより高発現していた。また腹膜播種由来中皮細胞を大腸癌細胞株と共移植したところ、腫瘍の増大を認め、中皮細胞によって大腸癌の造腫瘍能が亢進していることが明らかとなった。さらに(4)-3. 大腸癌浸潤・転移モデルを用いた癌微小環境におけるapCAFの同定及び機能解析において、MTO直腸同所移植により得られた直腸局所腫瘍と肝転移巣腫瘍を経時的に採取しフローサイトメトリーを用いてCAFを抽出、apCAFマーカーの発現をqRT-PCRを用いて評価したところ、直腸腫瘍に比較し肝転移巣で高発現していた。これは(4)-1. ヒト大腸癌間質組織におけるapCAF発現の臨床病理学的意義に関する検討においてステージ4大腸癌での原発巣と肝転移巣での結果に一致しており、今後apCAFによる肝転移などの遠隔転移へのメカニズムを解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(4)-1. ヒト大腸癌間質組織におけるapCAF発現の臨床病理学的意義に関する検討:切除大腸癌患者のCMS分類 やMicrosatellite instabilityの情報と上述のapCAF染色の結果を比較検討及び化学療法が及ぼすapCAF発現への影響の検討に進んでいる。 (4)-2. 大腸癌腹膜播種由来中皮細胞を用いたapCAF起源細胞の解析とバイオマーカーの探索:空間的遺伝子解析を用いた検討を進行中である。 (4)-3. 大腸癌浸潤・転移モデルを用いた癌微小環境におけるapCAFの同定及び機能解析 (4)-4. Single-cell RNA-seqを用いた大腸癌免疫療法が及ぼすapCAFへの影響の検討:MTO直腸同所移植マウスモデルにおける免疫チェックポイント阻害剤投与を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(4)-1. ヒト大腸癌間質組織におけるapCAF発現の臨床病理学的意義に関する検討:切除大腸癌患者のCMS分類やMicrosatellite instabilityの情報と上述のapCAF染色の結果を比較検討及び化学療法が及ぼすapCAF発現への影響を検討に進んでいる。 (4)-2. 大腸癌腹膜播種由来中皮細胞を用いたapCAF起源細胞の解析とバイオマーカーの探索:空間的遺伝子解析を用いた検討を進行中である。Multiplex多重蛍光免疫組織染色法については空間的遺伝子解析で代替する予定であり、単一細胞解析での免疫環境解析が困難である場合は、Xeniumなどの他の方法を検討する。 (4)-3. 大腸癌浸潤・転移モデルを用いた癌微小環境におけるapCAFの同定及び機能解析 (4)-4. Single-cell RNA-seqを用いた大腸癌免疫療法が及ぼすapCAFへの影響の検討:MTO直腸同所移植マウスモデルにおける免疫チェックポイント阻害剤投与を行う予定である。抗Mesothelin抗体については上述の結果によりapCAF関与の有無を判断してから施行するか検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は当研究室に保有している検体を用いた解析が多かったため物品費が予定より少なかったが、来年度より培養実験や動物実験に取り掛かる予定であり費用がより多くかかる見込みであるため。
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