2023 Fiscal Year Research-status Report
The association between neutriepigenetics and antitumor immunity in colorecta cancer
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23K15500
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大内 繭子 熊本大学, 病院, 助教 (80792613)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸癌 / EZH2 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌は増加しており、死亡数も多く、治療方法の改善や予防が必要な疾患である。MSI-H大腸癌に対しては抗PD-1抗体であるペンブロリズマブが奏功し、これには腫瘍リンパ球浸潤が関与している。我々は大腸腺腫から大腸癌への悪性化にEZH2が関与していることを発表しており、エピジェネティクスについて研究してきた。また、栄養状態と大腸癌の関連についても研究を行ってきた。今回、大腸癌の腫瘍リンパ球浸潤にニュートリエピジェネティクスが関与している可能性を考え、長鎖オメガ3脂肪酸とEZH2の関連を明らかにすることを目的として研究を行った。 ①臨床検体におけるEZH2発現と腫瘍リンパ球浸潤の検証、②臨床検体における長鎖オメガ3脂肪酸と腫瘍リンパ球浸潤の検証、③in vitro assayにおける評価を計画した。 まず、臨床検体におけるEZH2発現と腫瘍リンパ球浸潤について検証するために、MMRタンパク質免疫染色よるユニバーサル スクリーニングを始めた2020年11月以後にMSI-H大腸癌と診断された24例、同時期に切除を行なったMSS大腸癌22例を対象としてEZH2、CD8、Foxp3の免疫染色を行なった。免疫染色の評価はオールインワン顕微鏡BZ-X700(KEYENCE社)を用いて、X40視野でランダムに3箇所選び、平均値を求めて定量化して評価した。性別、年齢、深達度、リンパ節転移の有無、脈管侵襲の有無についてはMSI-H大腸癌とMSS大腸癌では有意差はなかったが、腫瘍局在で有意にMSI-H大腸癌で右側結腸が多かった。 MSI-H大腸癌とMSS大腸癌でそれぞれEZH2、CD8、Foxp3発現の関連を検証したところ、CD8はMSI-H大腸癌で有意に発現が上昇していた(p=0.01)が、EZH2とFoxp3の発現に有意差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
MSI-H大腸癌の症例数がまだ少なく、免疫染色でMSI-H大腸癌とMSS大腸癌で腫瘍リンパ球浸潤に差が出ておらず、長鎖オメガ3脂肪酸の検証までできていないことが最も大きな理由です。また、腫瘍リンパ球浸潤に関して、CD4、CD25、CD45ROなど他のリンパ球表面マーカーについても免疫染色を行おうとしましたが、条件設定に時間がかかりました。また、時間がかかっているのは人手不足も1つの理由かと思われます。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは症例数を増やすことが必要。症例数を増やすとEZH2とCD8、Foxp3との関連が見出せる可能性がある。また、CD4、CD25など他のリンパ球表面マーカーを検証してEZH2と腫瘍リンパ球浸潤の関連性について検証する。関連が見出せたら、それらの症例を用いて長鎖オメガ3脂肪酸と腫瘍リンパ球浸潤の検証を行う。つまり、腫瘍組織から長鎖オメガ3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)と長鎖オメガ6脂肪酸であるアラキドン酸(AA)を抽出し、その割合を示すEPA/AA比を測定して長鎖オメガ3脂肪酸を定量化することが可能と考えている。また、術前に血液サンプルが採取できた症例では、血液でのEPA/AA比を測定することも検討している。
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Causes of Carryover |
免疫染色の抗体など、試薬を購入したり、学会への旅費として使用する予定である。
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