2023 Fiscal Year Research-status Report
腹腔洗浄液中mRNA発現解析による胃癌腹膜播種再発予測と化学療法効果判定法の開発
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23K15518
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中西 香企 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10836183)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 微小遊離癌細胞 / 腹腔洗浄液 / 胃癌 / 腹膜播種 / mRNA発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の手順で、腹腔内微小遊離癌細胞を有し化学療法を施行している症例において、腹腔洗浄液中のSYT13およびCEA mRNAの経時的な変化が治療効果と相関するか調査した。 ①腹腔洗浄液検体と臨床データの収集:胃癌高度腹膜播種を有するもしくは腹腔洗浄細胞診陽性の進行胃癌に対して全身+腹腔内投与併用化学療法を行った計64名のデータを収集した。そのうち複数回腹腔内リザーバーより腹腔洗浄液検体を収集できた症例は37名であった。この37名より計456検体の腹腔洗浄液を収集し、解析のために使用した。 ②核酸の抽出と検体準備:456検体から核酸抽出キットを用いてRNAを抽出した。これらの検体をOD 260/280値で品質確認ののちにcDNAを合成し保存した。これをSYT13/CEA mRNA発現量解析のために用いた。 ③SYT13/CEA mRNA発現量の測定:過去の実験では手術時に得られた腹腔洗浄液検体を用いて定量的PCR法によりSYT13/CEA mRNA発現量を測定していたが、今回は腹腔内リザーバーからの採取検体での測定可能性を検証する必要があった。そこで4名の患者から得られた計42検体を用いてRT-PCR法によりSYT13/CEA mRNA発現量を測定する予備実験を行い、手術時の検体と同等の結果が得られた。また、これらの患者においてSYT13およびCEA mRNAの経時的な変化と臨床経過の関連性が示唆された。今後、残りの検体を測定し、腹腔洗浄液中のSYT13およびCEA mRNAの経時的な変化が治療効果と相関を確認する予定である。また、客観的なカットオフ値を設定するため、30例の非担癌良性疾患患者から開腹時腹腔洗浄液を得て、同様にSYT13/CEA mRNAを定量した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、腹腔内微小遊離癌細胞を有し化学療法を施行している症例で、腹腔洗浄液中のSYT13およびCEA mRNAの経時的な変化と治療効果の相関を調査した。
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Strategy for Future Research Activity |
腹腔洗浄液中SYT13/CEA mRNA発現量の経時的な変化と細胞診結果、治療効果、生存期間との相関解析を行い、治療効果判定としての臨床的意義を検討する。
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Causes of Carryover |
初年度は臨床データの収集と予備実験が主体であり、試薬の使用が少なかった。 次年度はSYT13/CEA mRNA発現量測定が本格化し、試薬の使用量の増加する見込みである。
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