2023 Fiscal Year Research-status Report
フォンタン循環におけるエンドセリンの包括的な役割の追求
Project/Area Number |
23K15536
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
青木 正哉 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (80728303)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | エンドセリン / フォンタン循環 / 単心室症 / 肺高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
フォンタン手術とは三尖弁閉鎖や単心室など二心室修復が不可能な先天性心疾患に対する機能的修復術であり、術後は肺循環を担う右心室をバイパスするため肺血流は定常流となるフォンタン循環の大きな特徴は、肺動脈血流の定常流化である。血流速度の遅い定常流は血管内皮のShare stressを低下させていることが予想されるが、肺血管の内皮細胞や平滑筋細胞にどのような影響をあたえるのかを、肺組織を用いて検討することである。 ①定常流であるフォンタン循環の肺血管構造は、内皮細胞、平滑筋細胞という観点から、どのような影響を受けているのか②フォンタン循環においてエンドセリンはどのように作用し、内皮細胞や平滑筋細胞に影響をもたらしているか、以上の問いに、フォンタン循環を目標としている患児の肺組織を用いて明らかにする。 空間マルチオミクス解析を用いることで、組織の全トランスクリプトーム解析を形態学的情報と統合が可能となることから、フォンタン術後の肺組織の性質や均質性、由来を明らかにすることが期待できる。また、時間発展的に変動する組織・細胞・生体分子間の相互作用ネットワークを計測したイメージングデータから、深層学習や統計モデルの活用により解析し、これらネットワークのダイナミクスを数理科学により、定量的に可視化・モデル化することができる。まずはエンドセリンの発現と肺高血圧症の指標となる遺伝子群との相関を模索する。さらに、フォンタン循環不全患者に特異的な発現パターンを探索する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検体数が少なく、一括して後方視的に解析を行うため進捗はやや遅れている。原因として、富山県の出生数は2000年に約10000人であったが、経年減少し、2023年は6000人を下回ったことがある。想定以上に、出生数の低下が進んでいることが一つの要因である。また、先天性心疾患において、施設の集約化が進んでいないことも要因である。
|
Strategy for Future Research Activity |
肺の組織は、グレン手術時とフォンタン手術時、さらにはフォンタン手術後で別に手術介入が必要となったタイミングでの生検を検討する。 空間マルチオミクス解析を用いることで、組織の全トランスクリプトーム解析を形態学的情報と統合が可能となることから、フォンタン術後の肺組織の性質や均質性、由来を明らかにすることが期待できる。また、時間発展的に変動する組織・細胞・生体分子間の相互作用ネットワークを計測したイメージングデータから、深層学習や統計モデルの活用により解析し、これらネットワークのダイナミクスを数理科学により、定量的に可視化・モデル化することができる。 解析によって、まずはエンドセリンの発現とPHの指標となる遺伝子群との相関関係があるかを模索する。さらに、フォンタン循環不全患者に特異的な発現パターンを探索する予定である。
|
Causes of Carryover |
肺組織の検体を収集し、後方視的に検体を選別するため本格的なマルチオミクス解析を行っていないため。 肺組織の検体収集を待って、一度に解析を行う予定である。
|