2023 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞由来心筋細胞を用いたチューブ状心筋構造体を応用した血管グラフトの研究
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23K15546
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川合 雄二郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (70898783)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 再生医療 / 心筋構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はiPS細胞由来心筋構造体の大型化と、ブタへの移植への実現可能性についての検討を行った。研究協力者の佐賀大学中山研究室、久留米大学医学部疾患モデル研究センターとの共同研究であり、構造体の培養条件、搬送方法の検討を行い、実験場所を久留米大学に変更して実験を行う方針とした。構造体はバイオプリンターを用い、大型化を行なった。作成の過程で、構造体収縮力により構造体の破断をきたすことがあり、細胞比率、積層化の最適化などを行なった。また実際にブタへの移植実験を行なった。本研究は冠動脈バイパス術における静脈グラフトの長期開存を目指した研究である。本研究でもブタに対する冠動脈バイパス術を想定しているが、ブタにおいて冠動脈バイパス術は侵襲が大きいため、比較的侵襲の少ない頸動脈へのバイパス術を行なった。脾静脈グラフトと作成した心筋構造体を組み合わせ、頸動脈へのバイパスを行った。 現状では構造体の脆弱性が強く、移植手技においても構造体の損傷が認められ、課題を残した。また免疫抑制剤の使用と胸腺脾臓摘出により、異種移植ではあるが、構造体の生着を期待していたが、術後の組織学的評価においては、移植構造体の生着を確認できなかった。免疫抑制剤については既出の文献や、実験で得られたデータ(免疫抑制剤血中濃度)に基づき、再検討が必要と考えられた。また移植手技が非常に高難度であったため、バイパスグラフトに適した構造体の最適化と移植手技の確立が今後の課題と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験場所等の変更を行ったが、当初の予定通り、ブタへの移植実験を行うことができた。また、構造体も回を重ねるごとに強度、ハンドリングの良さなど技術的な向上が得られている。大型動物(ブタ)を用いた実験にも習熟してきており、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も引き続きブタへの移植実験を推進していく方針である。最終的な目標である、冠動脈バイパスグラフト術への技術応用を想定し、実験モデルの検討を行い。まずは大型化した構造体の生着及びグラフトへの影響を検討したい。
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Causes of Carryover |
概ね予定通りであったが、実験場所の変更に伴い、旅費が多く必要となった。使用額が当初予算に若干不足したため、少額の繰越金を生じたが、次年度に消耗品、旅費等で使用予定である。
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